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平成30年8月31日
一石三鳥の水利用
 鳴子ダムのダムサイト左岸側は地すべり地となっています。
 ダム完成後に地すべりが発生し、地すべり対策工事を長年にわたり実施してきました。
 その対策のひとつが地すべりを起こしている箇所の地下水の水位を低下させ、すべりにくくする対策です。山の中にトンネルを掘り、地山の地下水を抜くために水抜き穴をボーリングにより開けて、出てきた地下水はトンネルを使って排水する仕組みです。そのための排水トンネルが2本掘られています。
 排水トンネル等から流れてきた地下水の水は、ダム直下にそのまま排水し、江合川に流しておりました。
 この水をもっと有効に使おうと昨年から構想を練っており、3つの有効活用を図りました。
  1.平均毎分180ℓの排水量があり、きれいな地下水のため災害時などの非常用水として活用可能にする。
  2. ダム直下に排水していたが、放流先を下流に約180m移動させ、落差80mの「滝」を出現させるとともに、その一部の水を使った「噴水」も作り、新たなダムの景観として見学者に見てもらう。
  3. 鳴子ダム周辺には、クマやニホンカモシカ、サルなどの野生生物が生息しているため、ダム見学者の安全を確保のため「ししおどし」を設置。「ししおどし」の水として利用する。
このように、今までただ直下に排水していた水を有効活用しました。
皆さんダムを訪れる際はこれらにも注目して下さい。

 動力を一切使わない水の使い方が大変エコだと感心する鳴太郎でした。
管理所近くの地下水を排水するトンネル内
地下水の排水口を移動して、災害時の非常用水として活用可能になりました
ダム天端に向かう管理用通路の途中には「ししおどし」を設置しました
排水先を移動したことにより落差80mの滝が出現