データで見るコンパクトシティの必要性

●郊外化と都市空洞化の進展

 国土の構成要素である都市と農山漁村の関係は、大まかに言えば、産業構造の高度化や都市化の進展が、農山漁村から都市への人口の流出や農山漁村の衰退と相まって続いてきたといえます。
 ところが、流出先の都市は、中小都市を中心にモータリゼーションの進展、商業環境の変化などにより、都市の区域が人口増加の伸びを上回って膨張し、人口密度の低い市街地が広がってきています。
 郊外部では、住宅団地の造成や大型小売店舗の進出等の開発が盛んに進められる一方、都心部では商業販売額の低下、賑いの喪失、居住者の減少など中心市街地の空洞化が進行しています(図1−7,8)。 その結果、「人が集まるコミニュティの場としての役割」や「まちの顔としての象徴性」「文化を継承する役割」を担ってきた都心部が衰退し、郊外部に広がった市街地は都心部で失った町の魅力を補うだけの個性を持つに至っていない場合には、都市全体の活力の低下が懸念される状況となっています。また、郊外化の進展は、農地の荒廃や緑地の喪失の一因ともなり、若者の流出による跡継ぎ不足、人口流出による農山村の衰退に拍車をかけています。すなわち、郊外化と都心空洞化の進展は、都市問題が農山漁村にまで大きな影響を及ぼすことを示しています。
図1−6 DID地区人口密度の推移:都市計画年報より作成
都心部の空洞化
図1−7 県別空き店舗率(%)
出展 :商業環境の変化(東北地方建設局調査)
図1−8 大規模小売店舗立地の推移
出展 :商業環境の変化(東北地方建設局調査)

 また、市街地の拡大は、道路や下水道などのインフラ整備の必要量を増大させることになります。
 1969年の都市計画決定量を1とした場合、1995年の決定量は道路で約2倍公園で約4倍、下水道幹線では、約7倍となっています(図1−9)。
 またデータ集によれば、中心部の都市計画道路、公園の整備量は横這いあるいは減少しており逆に郊外部では増加傾向にあります(図1−10,11)。

 幹線道路の走行速度の低下と朝夕の交通渋滞が郊外の住宅地と都心、あるいは都市間の時間距離をさらに遠くし、車による移動の燃料や時間を浪費させています。沿道規制や道路構造(立体交差など)による幹線道路の走行性の確保が必要です(図1−12)。

図1−9 都市計画施設の増加(東北計)
(‘69年を1とした場合の都市計画決定量 出典:都市計画年報)
図1−10 都市計画道路の整備延長の推移
図1−11 都市計画公園の整備量の推移
幹線道路の機能低下
図1−12 DID区域内幹線道路の旅行速度の推移
出典:道路交通サイエンス