データで見るコンパクトシティの必要性

自然や地球環境の保護

 1992年5月に気候変動枠組み条約が採択され、同年6月の地球サミット(リオ・デ・ジャネイロ)で各国首脳により正式署名が行われました。この条約では、先進各国は、温室効果ガスの人為的排出を2000年において1990年の水準で安定化させることを目指していますが、それに加え2000年以降に先進国が達成すべき目標などについて、1997年12月に京都で開催された第3回締約国会議(COP3)において「京都議定書」が採択されました。このようななか、統計数理研究所の「国民性の研究」によると、地球規模の問題意識を契機に国民の自然志向が強まり、自然や環境の維持等への認識が高まっていると報告されています(図1−13)。
 これまでの我が国の都市整備は、人口・産業の都市への集中に対応するため、新市街地の拡大及びこれに対応して都市基盤整備を行う「量的拡大型」で進められてきました。しかし、今後は、少子高齢化と相まって都市への人口流入が縮小することにより都市の拡大圧力から解放されることになり、経済成長率の低下等により官民問わず投資の効率化が求められていることや、地球環境保護の意識の高まりなどを背景とした環境負荷の小さな構造への欲求が高まってきていることから、既存ストックの有効利用した「質的充実型」の都市づくり、さらに、豊かな自然や農地との共存、エネルギー効率のよい都市構造を目指すなど、都市整備の方向も歴史的な転換期を迎えています。

参考文献
:「環境と運輸」交通エコロジー・モビリティ財団
:「安心で豊かな都市生活を過ごせる都市交通及び市街地の整備のあり方並びにその推進方策はいかにあるべきか」についての答申 都市計画中央審議会

 

図 温室効果のメカニズム
図 自然と人間の関係

出典:「国民性の研究 第9回調査」(統計数理研究所)により国土庁計画・調整局作成