メダカ水路

■縦断水路構造の選定

  縦断水路の実験結果から、4タイプの水路モデルの内では、プレハブ水路、ポーラスコンクリート水路の順でメダカが多く捕獲される結果となった。また、溜桝でも多く確認される傾向にあった。プレハブ水路で多く捕獲された要因として、他の区画よりも著しく水深が深いことがあげられる。しかし、プレハブ水路は底部がオープンになるため、軟弱地盤である当該地域では頻繁な維持管理が必要となることが考えられ、経済面・維持管理面に問題を残す
 
 一方、ポーラスコンクリートは透水性の構造であり、地下水位の高い当該地域においては、土水路と同様に水路に水がしみ出すことが予想され、また、表面が多孔質であるため、泥が堆積しやすく水草も根付きやすい。また、管理も容易で経済的である。
 
 そこで、縦断水路については、水深を深くすることでプレハブ水路と同様の効果が期待でき、維持管理も容易であるポーラスコンクリート水路を採用するとともに、メダカが多く捕獲された溜桝を適当な間隔で配置する方針をとりたいと考える。(以下、この溜桝を「メダカ溜桝」と称する。)


ポーラスコンクリートベンチフリューム
 第1案のベンチフリュームの材質を変更した案であり、ポーラスコンクリートと呼ばれる粗骨材を化学物質で固め、隙間のある構造としたものである。

■「メダカ溜桝」構造
 
 現況で施工が予定されている、集水桝や横断水路の接続桝は、水深が深いためメダカの避難場、越冬場として機能するものと考えることが出来る。このため、メダカの産卵場、採餌場としての機能を代替する構造として、静水域を形成し、泥の堆積・水草の繁茂が期待されるメダカ溜桝を追加して施工し、メダカの生活がこの水路内で完結できるような水路となることを目指す。
 
 また、カエルやヘビなどの小動物や、羽化時に水中から陸上へ移動する水生昆虫などが水路から這い上がれるように、溜桝内にスロープ構造を設けるか、溜桝の上下流に小動物脱出用のスロープを有した水路を設置するものとする。


小動物脱出施設工例の写真

メダカ溜桝イメージ図

■横断水路構造の選定

 横断水路の実験結果からは、全ての区画について、同程度のメダカの通過が確認され、どの水路構造を用ても大きな差異はないものと考えられた。このことから、経済面・維持管理面で優れる通常のボックスカルバートを選定することとする。
 
 ただし、流量の多い時期・水路や、横断水路の暗渠の長さが実験区間より長くなるという点を考慮して、横断水路の中央部(4車線道路の中央分離帯部分)に休憩場として利用可能集水桝を設け、さらに明かり取りとなる縦坑を設置するものとする。これにより、メダカが水路を移動する際の一時的休息場となることや、暗渠の暗闇を好まないメダカの行動が軽減されることが期待される。
 
 また、最も水量が多くなると考えられる戸崎から桑原の水田地帯を貫流する水路については、当初の道路計画では道路排水を流す流末水路として設定されていた。しかし、この水路は下流部で用水として取水されることやメダカの主な生息地・移動経路となるなど、当該地域の水田環境のシンボル的な水路であることに配慮し、道路排水が流入しないように排水系統を変更し、可能な限り現況の水質や流況を維持出来るように改善を図った。

横断水路構造模式図


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