縦断水路実験結果

 縦断水路とは、道路の脇を流れる水路で、道路の排水などを下流へ流すために設置される水路です。この水路は、水田などにつながっているためにメダカが自由に出入りされると考えられるので、メダカが安全に生息できる環境を整備する目的で実験が行われました。

各モデル区画においてメダカが捕獲された数をまとめると下図の結果となる。



上の実験結果を踏まえ、各水路モデルの特徴を以下のように比較検討した。

名称・断面構造 実験結果 効果 単価 ※
(経済性)
維持管理 評価
ベンチフリューム
・捕獲数は少なく、メダカの滞留はほとんど見られなかった。
・植物はほとんどなかった。
(×)
・通常のU型側溝であり、メダカが生息できる環境にはなりにくい。
(×)
1m:
5,600円
(◎)
・維持管理は容易である。 ×
プレハブ水路
・全てのモデル水路、土水路、溜桝の中で最もメダカの捕獲数が多かった。
・7月に植物の侵入が見られた。
(◎)
・底部が自然地盤であることから、土水路に近い環境となり、メダカの生息に適している。
・水深が深く、渇水期にも水が干上がらない。
(◎)
1m:
8,000円
(約1.4倍)
(△)
・水草が繁茂することや泥がたまることから、管理が容易でない。
・当該地は軟弱地盤のため、底がないプレハブ水路では維持管理が容易でない。
(×)
ポーラスコンクリート
ベンチフリューム
・土水路、溜桝を除くとプレハブの次にメダカが多く捕獲された。
・7月に植物の侵入がみられた。
(○)
・当該地は地下水位が高いため、水田からの水が浸透し、水路が干上がりにくい。
・将来的には植生が繁茂し、メダカの生息に適する環境となることが期待される。
(○)
1m:
7,200円
(約1.3倍)
(○)
・維持管理は容易である。
(◎)
火山礫洗い出し
ベンチフリューム
・捕獲数は少なく、メダカの滞留は見られなかった。
・植物はほとんどなかった。
(×)
・藻類や水草類などが付着しやすい構造となっているが、実験期間中では効果が得られなかった。
(△)
1m:
12,000円
(約2.2倍)
(×)
・維持管理は容易である。
(◎)
×
そだ柵水路
・捕獲数は少なかった。(ただし、そだ工のために捕獲率が悪かったことが考えられる。)
・植物は最も良く繁茂していた。
(△)
・3面とも自然素材であり、現況の土側溝の環境に近いため、メダカの生息に適している。
・ただし、機能保持のためには頻繁な維持管理が必要となる。
(○)
1m:
19,000円
(約3.4倍)
(×)
・定期的な部材の交換が必要であり、維持管理面で劣る。
(×)
×
土水路
・プレハブ構造、溜桝の次にメダカ捕獲数が多かった。
・9月には水路が泥で埋まって浅くなり、メダカは少なかった。
・植物は6月から繁茂していた。
(○)
・現地の用排水路の一般形状であり、メダカにとっては好ましい生息環境である。
・ただし、草刈り、泥上げ等の維持管理を必要とする。
(◎)
約900円
(約0.17倍)
通水断面確保のため用地買収が発生
(×)
・日常的な点検が必要であり、維持管理面で劣る。
(×)
※(経済性)は当初案のベンチフリュームと比較した値

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