成瀬ダムの事業概要
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成瀬ダムの計画概要
成瀬ダムは雄物川水系成瀬川に建設される多目的ダムです。
雄物川の「治水計画」は成瀬ダムを始めとする皆瀬ダム、鎧畑ダム、玉川ダム等のダム群を建設して洪水を調節するとともに中下流部では川沿いに堤防を築くなどして洪水被害を軽減する内容になっています。
昭和62年、平成6年等の度重なる洪水被害、また、農業用水の慢性的な水不足、生活用水の枯渇等が頻繁に発生しており、成瀬ダムの早期完成が望まれています。
成瀬ダムの役割
1.洪水調節〜洪水被害を軽減します〜
梅雨や台風などで大雨が降ったときに、成瀬川を流れる水の一部を成瀬ダムに貯め、川に流れる水量を減らし成瀬川・皆瀬川・雄物川流域の市町村の氾濫被害を軽減します。
成瀬ダムの建設される地点における計画高水流量毎秒460立方メートルのうち、毎秒410立方メートルの洪水調節を行います。
2.流水の正常な機能の維持〜ダム下流部に水を補給します〜
成瀬川・皆瀬川の水量が少ないときに、河川に生息する動植物の生態や景観を守るため成瀬ダムから川に水を流し水量を増やします。
日照りの時:皆瀬川(岩崎橋地点)
普通の時:皆瀬川(岩崎橋地点)
成瀬ダム下流において既得用水の補給等流水の正常な機能の維持と増進を図ります。
3.農業用水の供給〜安定したかんがい用水を供給します〜
雄物川中流部右岸の平鹿平野は東北地方を代表する穀倉地帯です。この地区は、成瀬川・皆瀬川の河川水を取水してきましたが、渇水や近年の営農形態の変化に伴って恒常的に水不足となっています。成瀬ダムを新たな水源にすることにより安定した農業用水を確保することができます。国営平鹿平野農業水利事業(農林水産省)
皆瀬川、成瀬川及び雄物川沿岸の約10,050ヘクタールの農地に対するかんがい用水の補給を行います。
4.生活用水の供給〜水道用水を補給します〜
雄物川流域では未だ自家用井戸の使用率が高く、水道普及率も低い状況にあります。また、近年の生活水準の向上により増加する使用量に反し、地下水位が低下してきており、たびたび渇水が発生しております。これらの課題を解消するため、成瀬ダムに新たな水源を確保することとしています。
湯沢市、横手市〔旧増田町、旧平鹿町、旧十文字町〕、大仙市〔旧西仙北町、旧南外村〕に対して、新たに1日最大13,164立方メートルの水道用水の取水を可能にします。
5.発電〜クリーンなエネルギーを供給します〜
成瀬ダムの建設に伴って新設される成瀬発電所(仮称)において、成瀬ダムによる落差を有効に利用し、最大出力5,800kWの発電を生み出します。(秋田県産業労働部公営企業課)
成瀬ダムの計画諸元

貯水池容量配分図
位置及び名称
(1)位置
雄物川水系成瀬川
右岸 秋田県雄勝郡東成瀬村椿川字トクラ
左岸 秋田県雄勝郡東成瀬村椿川字白岩小沢
(2)名称
成瀬ダム
規模及び型式
(1)規模
堤高(基礎地盤から堤頂までをいう。)114.5メートル
(2)型式
台形CSG(※)
※:CSGとは
「Cemented Sand
and Gravel」の略でセメントで固めた砂れきで造るダムを言います。
ダム本体標準断面図
ダム使用権の設定予定者
- 湯沢市(水道)
- 横手市(水道)〔旧増田町、旧平鹿町、旧十文字町〕
- 大仙市(水道)〔旧西仙北町、旧南外村〕
- 秋田県(発電)
建設に要する費用
(1)建設に要する費用の概算額
約2,600億円
工期
昭和58年度から令和9年度までの予定
利水計画
利水計画の概要
特定かんがい計画
大規模かつ優良な農業地帯「平鹿平野地区」
平鹿平野地区は、食糧供給の中核的役割を果たす大規模かつ優良な農業地帯として、食糧自給率の達成等に向けた生産基盤の整備が不可欠であり、『新世紀あきたの農業・農村ビジョン』においても生産基盤の整備促進を図ることにしています。
しかしながら地区内の現状は
国営雄物川筋農業水利事業で造った皆瀬・成瀬頭首工や用水路は築造後相当の年数が経過し、老朽化や寒冷な気象条件によ劣化が著しく、早期にこれらの施設を整備しなければ用水を十分に流すことができません。
また、営農形態が以前と比べ大きく変わってきており、夏場には河川水や湧水等地区内利用可能量の減少により、恒常的な用水不足が生じています。
用水の不足量は、約1,700台のポンプや番水等で苦労しながらどうにか用水を確保している現状です。
毎年施設(頭首工、用水路、ポンプ等)の補修工事や電力量などに多くに維持管理費を要しています。
現状写真
「以前は、豊富な湧水池でした」
雨沼(横手市〔旧平鹿町〕)
「用水不足に対処している地下水ポンプ群」
(横手市〔旧大雄村〕)
「用水路の老朽化が進行し、早期の改修が求められています」( 横手市〔旧十文字町〕)
「農業経営の合理化を図るため、ほ場整備が望まれています」( 横手市〔旧平鹿町〕)
事業計画の基本的な考え方
- 不足するかんがい用水は、成瀬ダム(特定多目的ダム)に依存して、必要な水量を確保します。
- 施設の老朽化に伴い、頭首工、用水路を改修し、用水の安定供給と維持管理費の軽減を図ります。
- 特に用水の不足している中下流部へは、専用水路を併設して、必要な用水を直接導水します。
- 頭首工及び幹線用水路の主要な分水工は、用水管理センターで集中管理し、適切な用水配分を行い、管理の合理化を図ります。
- 関連する事業として、県営により用水路の改修及びほ場整備等を実施し、農業経営の合理化を図ります。
事業計画の概要
- 関係市町村:横手市、湯沢市、大仙市(3市)
- 受益面積:約10、050ha
- 主な工事内容
幹線用水路
(施工前)M1幹線用水路
横手市〔旧十文字町〕
(施工後)M1幹線用水路
横手市〔旧平鹿町〕
上水道取水計画
水道用水の現状
成瀬ダムに水道水源を依存する市の水道普及率は平均68.2%と低く、その水源は河川の伏流水及び地下水となっています。
湯沢市、横手市(旧増田町、旧平鹿町、旧十文字町)、大仙市(旧南外村、旧西仙北町 )の水道計画では水道未給水地域の解消と安定した水量確保、並びに将来の下水道整備等による水道の需要量増加を考慮し、その水源を成瀬ダムへ依存することとしています。
特に旧南外村においては、豊水暫定水利権を取得し、水道整備事業を平成18年度末までに完成しています。
成瀬ダム取水予定表(m3/日)
発電計画
水力発電は、クリーンで環境にやさしい発電方法です。
成瀬発電所(仮称)では、下流に放流する水の落差を利用して発電し、エネルギー資源の有効活用を行います。
成瀬ダムからの放流水のうち最大 毎秒8.0立方メートルを利用し、ダム直下の成瀬発電所(仮称)で最大出力5,800kW、年間発電電力量23,038MWhの発電を行い、およそ4,700世帯分(※)に必要な電気をおこします。
貯水池には発電のための特定容量を設けず、流水の正常な機能維持、水道用水、かんがい用水の放流水を利用し発電します。
発電計画一覧
※1世帯あたり404.7kWh/月(経済産業省「平成27年度エネルギーに関する年次報告」より
水力発電のしくみ
水力発電は、高い所から落ちてくる水の力で水車、発電機を回転させて電気をつくります。
発電所で作られた電気は、高い電圧の送電線によって消費地近くの変電所へ送られ、ここで電圧を低くし、配電線にのせて工事や病院などにとどけられます。更に、一般家庭、商店などには、柱上変圧器で100Vや200Vの低い電圧にしてとどけられます。
水力発電の効果
1 石油依存度の軽減
水力1kW時当たり石油0.22リットルの軽減となります。
2 エネルギーセキュリティに寄与
水力は再生可能な純国産エネルギーであり、石油依存の低減、安定的なエネルギーの確保として、エネルギー安全保障に寄与することができます。
3 地球温暖化防止に貢献
水力は炭酸ガス等を排出しないクリーンなエネルギーであり、地球温暖化等地球環境問題防止対策として貢献します。
4 発電コストの長期安定性
インフレや燃料コストの変動等の影響は少なく他電源に比べ発電コストは安定しています。
5 高い信頼性
水力は技術的に成熟していて、他電源に比べ事故率が極めて小さいです。
6 地元自治体財政への寄与
電源開発を行うと地元市町村に電源立地促進対策交付金、水力発電施設周辺地域交付金、国有資産等所在市町村交付金等が交付され、地方自治体の重要な財源となります。
7 地域総合開発及び地域産業の振興
地元の社会基盤整備の促進と雇用及び需要の創出等により地域経済に貢献します。
成瀬ダム建設事業の検証に係る検討について
【関係地方公共団体からなる検討の場】の会議関係資料等はこちら