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川に関するお知らせ

2001.03.29
更新

雄物川の漁業と四季/雄物川流域に古くから伝わる10の漁法をご紹介します。
※以下は、湯沢工事事務所が企画・発行した『大曲捷水路記念誌』において、雄物川町郷土資料館長の島田亮三氏が監修したものです。(一部旧仮名使い、単位などを編集しています)

小川の渕又は沼などを選んで行う。
小川の場合は初めに渕の上、下に雪を入れて魚の逃げ道を止める。沼の場合は片方から魚を追い出し、特定の場所に集めるように進める。
雪を投げ入れては、柄振り(えぶり)で掻き回す。

魚類は逃げ道を失い、右往左往している内に柄振りで掻き上げられ、雪の上に姿を表す。その時素早く柄振りに乗せて掬い上げる。以前は冬の蛋白源の確保のため、よく見られた漁法である。


破追い(はぼい)
これは雄物川に於ける氷下漁である。

1、2月頃氷吹雪によって入り江が全面凍った時、雄物川本流を材(雪の塊)が流れるため、魚類がそれに巻き込まれるのを恐れて入江の氷下に避難する。氷の張らない入江では水鳥に食べられる危険性もあり、大、小群集している。

先ず入江の入口に網を張る。入江に舟を乗り入れて、氷を大きく割り網の上を越して下流に流す。
徐々に網を進める。割った氷の下に魚類がついて来るので網を越すのだが、網を見ると驚いて割らない氷下の暗い方へ逃げるのがよく見える。

氷の厚い時は、金棒、鋸なども用いた。
また舟を氷の上に乗り入れて横ゆすりすると、大きくひび割れを生じ楽であるが、舟が傷み易い。予め揚げ場を定めて、そこに追い詰める。魚類の多い時は半分位迄進むと水底を濁らすので大体の量が推測出来る。

最後に静かに網を引き揚げる。これこそ一網打尽というところである。

〈魚類〉うぐい、似鮒(10cm~40cm)、鰉(ひがい:この魚は戦時中、天皇陛下が召しあがられ大変美味しいと云われたので魚へんに皇とした由)、鮒、その他。収穫約20Kg。


ためっこ漁

・時 期 12月より3月迄
・場 所 入江(さしわ)及び本流のよどみ。
(注)増水の際流失されない様な場所及びごみのよどみによって柴の埋まらない場所を選ぶ。

・作り方 場所を選んで四囲に杭を打つ。

大きさは場所によって正方形又は長方形に選ぶ。下流に向って口を取り、口方向に柳柴を積み重ねる。深さに依り二段か、三段に横杭にて柴の流れないように押さえる。上部を水面下にして雪の積らないようにする。
雪の重みで柴が押し込まれると、魚は隠れなくなる。適当に隙間をもたせる。

・とり方  深い所は舟を横付けにして柴を揚げ、一把一把の魚を舟にほろきとる。昔は葭ず(よしず)を周囲に巻いてとったが、今は殆んど網を巻き口にど網を据えて楽にとっているようだ。


押し網(大きさ1m50cm~2m)
これは年中行なわれる。冬期には長い竹を結び付けて陸上に居て掬い上げる。時には網持ちと、追人(おいと:板部の小さい柄振を持つ)と二人一組でやることもある。

冬籠りの隠れ場の下流に網を据え、柄振で追い出すと、稀には鯉などの大物も入ることがある。

鮒、なまず、うぐい、どじょう、たなご、など魚類は雑多である。特に冬のえび(つまくらえび)は大変貴重な収穫である。塩蒸しにして酒のつまみには最高と云われる。


断ち切り(持ち網)持ち(春より秋迄)
四ツ手網を当地方では「持ち網」と呼んでいる。

春 … 雄物川本流を断ち切って、産卵後(うぐいは産卵を終えると海に下る)のうぐい(魚体が大きい)をとる。これは仲間にて夜通し持つ。一晩の漁獲量5貫~10貫(※18.75Kg~37.5Kg)。特に小雨の多少増水時よし。小川では、早朝、夕刻がよい。(鮒、鯉、うぐい、似鮒ひがい等)

夏 … 瀬下(せじた)附近を選ぶ。下流の渕に住む魚が夜間餌を求めて上、下する。(鯉、鮒、なまず、うぐい、ひがい、似鮒外)

秋 … 凡そ夏に同じ。

晩秋 … 小川では初雪のあった後でもよい。小春日和のような温い日には鯉は餌を求めて日中も動く。そして夕刻渕に戻るようだ。それ故、夕暮の約30分位が勝負ところである。この頃になると動きも鈍く「さとり糸」に強く感じない。十分注意すべきこと。

筆者は四ツ手網に一度に4匹(尺以上)あげたことがある。3匹までの話は聞いているが、4匹は最高記録と思われる。


かじか押し(6、7、8、9月)
これは二人一組の魚法で、瀬の動いた石の下に隠れている「かじか」を追い出してとるもので、板押は瀬上より水の力を利用して、砂利を押し流す。これは馴れないと水の勢いに負けて、なかなか上手にゆかないものだ。かじか押板の下部中央に足掛けの穴を明けてあるので、そこへ足先を入れて適当に力を入れて、ぐらぐらさせるとすぐに砂利が押し流される。そこで網持ちが、下流でさっと網を入れて逃げ下る「かじか」だけを手早く掬い上げ、片方に集めて手で掬いびく(かつこべ)に入れる。この動作を手早く繰り返すのが「こつ」である。

網持ちがまごまごしていると板持ちが水勢に負けてどんどん下って終うので漁が少ない。網持ちは流れる砂利の来る前に「かじか」だけを掬うこと。砂利を掬って終うと「かじか」をより分けるのに時間がかかるので砂利を掬ったときは、たとえ「かじか」が十数匹見えても一たん捨てて、次の動作に入らなければならないものだ。場所によっては一回に20匹以上も入ったものだ。

料理:かじか蒸し、かじか味噌叩き、でんがく、吸い物だし(一度焼いて、味噌溜りであじ付けにすると、軽くてとても美味しい。)


ごり廻し(6、7、8、9月)
ごりは入江の砂地の多いところに住む。ちょっと見ただけでは仲々見付けかねるものだ。そこで二本縄に藁を編みつけた「ごり廻し」で入江を引っ張ると、どこから出て来るのか「ごり」がごり廻しのさきをひょいひょいと泳ぎ出す。それを最後「ごり網」に誘導して一網打盡と云う訳である。近くで葭切りが啼いている。

葭切りや川師に古き掟あり   可和子


鮎はね網
普通五分目にて、120目をたて12尺(※363.3cm)迄ひき、あらたに30目をたててそれより廻しびきをする。120目のまま袋の廻しびきをすると、落ち口が挾まって、鮎がスムーズにころげ落ちない為、逃す率が大きい。30目をあらたにたててひくと、喉口が広く袋に落ち易いからである。

年によって鮎の生育が遅れ、魚体の小さいときもあるので、筆者は四分目を使った。従って五分の120目に対し、四分目では150目となる訳だが、多少の余分として五ツ目をふやして作った。大変使いよい網であった。


鮎毛廻し(鵜縄)(9、10月) 夜ごり網(7、8、9月)
膝程度の流れのあまり強くない處を選び、網をたてる。流れで網が、伏さないように5尺(※151.5cm)間隔位に細い棒にてささえる。網の根あしは、砂利を掘って埋めるが、充分気をつけてやること。ここに鮎が「ささる」ので、充分埋めないと、そこから逃げられる。鮎は網の上から「おさえて」一匹づつとることになる。

又戸口については戸たて人が充分注意を払い、鮎が戻らない間に「戸たて」網にて口を締切るのが肝要である。時期は8月末、9月。川師は馴れたもので、戸たて人と、毛廻し人は一人で舟を漕ぎ鵜縄を上手に廻して、とっている光景がよく見られたものだ。

夜ごり網、これは夜の毛廻しである。明るい間に場所を選んで設置し、夜8時頃に始める。この頃似鯉が瀬頭(せがしら)の「が虫」を食べに渕から出て来るのである。6月頃より9月末迄。

それで静かに近づき、舟に乗り、戸たて人は持場につく。合図により一斉に行動を開始する。以前は舟で一杯とった話をよく聞かされた。


鮭止め場(10月~12月上旬)
深さ1m以上の流れの場所を「持ち場(もっぱ)」として選ぶ。鮭類は止り水の場所は嫌うようだ。川巾一杯に止め網にて遡上を防ぐこと。箱網に鮭を入れる為、箱網下流の一部をわずかにあけてやる。箱網に入った鮭が出口を求めて廻り、「まや」に仕掛けてある四ツ手網に入る。納屋では鮭が四ツ手網に入った時の「さわり」糸に鈴をつけておき、鈴が鳴ったら引き網をたぐり揚げる。これには滑車を用いて引き揚げ易いようにしてあるので、楽にあがる訳である。

四ツ手網に鮭が入ると、がわがわと水音をたててわかるので納屋から出て取り上げ「生け簀」に入れる。鮭は尾鰭を掴んで横にすると、あばれないものである。

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