高瀬川・小川原湖生物マップ

魚類

高瀬川(たかせがわ)と小川原湖(おがわらこ)では、これまでに約70種類の魚が見つかっています。
これらの中には、コイの仲間やナマズの仲間、ハゼの仲間などいろいろな種類の魚がいます。
中には、外国からやってきたような魚もいます。
フナやドジョウなど淡水(たんすい:川や湖)にすむ魚もいれば、
ボラやカレイなどもともと海水(海)にすんでいる魚もいます。
このように、淡水にすむ魚と海水にすむ魚の両方がみられるのは、高瀬川や小川原湖が、
川の水と海の水とが混じり合う汽水域(きすいいき) という場所になっているからです。
そして、小川原湖の中でも、南の方では淡水にすむ魚が、北の方では海水にすむ魚が多くすんでいます。

これらの魚のほかに、アユやサケのように、海と川との間を行き来する魚もいます。
サケは秋になると親が海から小川原湖にのぼってきて、
さらに上流の七戸川(しちのへがわ)などで産卵(さんらん)します。
生まれた子供は小川原湖と高瀬川をとおって海に下り、 大きくなって再びもどってきます。

高瀬川と小川原湖にはほかにもいろいろな魚がすんでいます。
冬に氷に穴をあけてつりをするワカサギや小川原湖の名物シラウオ、
ヌマガレイという淡水にすむめずらしいカレイなどもすんでいます。
また、タナゴやメダカなど都会ではあまりみられなくなった魚もすんでいます。

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底生動物

底生動物(ていせいどうぶつ)とは、湖や川の底にすんでいる小さな生き物のことをいいます。

高瀬川(たかせがわ)と小川原湖(おがわらこ)では、これまでに約180種類の底生動物が見つかっています。
これらの中には、貝の仲間、ミミズの仲間、エビの仲間、カニの仲間、
こん虫の仲間などいろいろな種類の生き物がいます。

淡水(たんすい:川や湖)にすむ生き物もいれば、汽水(きすい:少し塩からい水の場所)にすむ生き物もいます。
淡水にすむ生き物では、ドブガイ、カラスガイ、マツカサガイなどの二枚貝(にまいがい)の仲間やギンヤンマ、
マツモムシ、 ゲンゴロウなどの水生昆虫(すいせいこんちゅう)の仲間などがいます。
これらは主に七戸川(しちのへがわ)や砂土路川(さどろがわ)が流れこむ小川原湖の
南の方や小さな流れこみがある場所にすんでいます。

汽水にすむ生き物では、ヤマトシジミや ゴカイ のほか、たくさんの小さな生き物がいます。
これらは主に小川原湖の中でも海に近い北の方や高瀬川にすんでいます。
特に、しおが引いた時に高瀬川にできる広い干潟(ひがた)にはたくさんの生き物がすんでいます。

底生動物マップ

植物

高瀬川(たかせがわ)と小川原湖(おがわらこ)では、岸辺だけでこれまでに約900種類の植物が見つかっています。

高瀬川の河口(かこう)には、ハマナスやシロヨモギがまばらに生える砂丘植物群落(さきゅうしょくぶつぐんらく)がみられます。
左岸の干潟(ひがた)にはヒメキンポウゲのように塩水に強い植物からなる塩沼植物群落(えんしょうしょくぶつぐんらく)がありますが、
どれも小さいので目立ちません。
まわりにはクロマツ林やヨシ群落などが広がります。
高瀬川から小川原湖の北東の岸、仏沼(ほとけぬま)のあたりまでは、ヨシやススキのおいしげる原野が広がっています。
群落としては多くがヨシ群落ですが、高い山の湿原(しつげん)に生えるクロバナロウゲやニッコウキスゲが、こんな低いところにあるのがここの特徴です。
小川原湖のまわりは田んぼになっていますが、水辺にはヨシ・ヒメガマなどの単子葉植物群落(たんしようしょくぶつぐんらく)がみられます。
山すそには落葉広葉樹林(らくようこうようじゅりん)やスギ植林があります。
おもしろいことに、岸辺には海岸に生えるハマナスやハマヒルガオもみることができます。
小川原湖の南側、砂土路川(さどろがわ)や土場川(どばがわ)の流れこむあたりには、そこがどろの浅い水辺を好むアサザやコウホネが水面に葉を広げています。
(浮葉植物群落:ふようしょくぶつぐんらく)。
また砂土路川の三角州には大きなヤナギ林があります。
小川原湖の水中には、カワツルモやシャジクモのような水草がたくさん生えています。
小川原湖はどこも遠浅なので、光のとどくところに生える水草にはつごうがよいのです。

植物はかんきょうによってすみわけています。とくに砂丘や干潟はふつうの植物にはきびしい場所なので、それにたえられる特別な種類が生えます。
高瀬川・小川原湖ではたいへん多くの植物が知られていますが、それはいろいろなすみ場所があるからなのです。

鳥類

高瀬川(たかせがわ)と小川原湖(おがわらこ)では、これまでに175種の鳥が見つかっています。
ここには、キジバトやシジュウカラなどの林にすむ鳥も多いのですが、高瀬川と小川原湖という大きな湖と川、
その周辺をとりかこむ広い湿地(しっち)や湿原(しつげん)があるため、ハクチョウやカモなどの水鳥(みずとり)やオオヨシキリやオオセッカなどの
水辺を利用する鳥たちがたくさんすんでいます。
また、海が近いため、ウミネコやセグロカモメなどの海で生活している海鳥(うみどり) もたくさんみられます。
これらの鳥を1年間観察しますと、季節によっていろいろな鳥がみられることがわかります。
鳥のとくちょうはつばさを持っていることです。 鳥は、このつばさを利用して、寒くなると南の国に行ったり、暖かくなると北の国に行ったりし、
季節によって長きょりの移動をおこないます。
もちろん、つばさを持っていても長きょりの移動をおこなわない鳥もいます。
このような鳥の季節による移動をわたりと呼び、わたりのしかたによって、 夏鳥(なつどり)、冬鳥(ふゆどり)、旅鳥(たびどり)、留鳥(りゅうちょう)に
分けられます。
このわたりのしかたによって、 高瀬川と小川原湖で観察される鳥を分けてみました。

夏鳥

繁殖(はんしょく)のために来るわたり鳥。春に来て夏をすごし、秋に南方にわたって冬をすごします。
オオジシギ、カッコウ、ツバメ、コヨシキリ、オオヨシキリ、オオセッカなど、夏の湖や川の岸では、これらの鳥たちのにぎやかなさえずりが聞かれます。

冬鳥

越冬(えっとう)のために来るわたり鳥。秋に来て冬をすごし、春に北方へわたって繁殖します。
オジロワシ、オオハクチョウ、コハクチョウ、オナガガモ、 キンクロハジロ、スズガモ、ユリカモメ、セグロカモメなど、冬の湖には多数の冬鳥がわたってきます。

旅鳥

わたりのときだけに通って行くわたり鳥。繁殖のために北方にわたる春と越冬のために南方にわたる秋の短い期間にたいざいします。
ダイゼン、オオソリハシシギ、チュウシャクシギ、ツルシギ、アオアシシギ、キアシシギなどですが、短い時期ですので数は多くありません。

留鳥

1年中同じところにすんでいて、季節によって大きな移動をしない鳥。
カイツブリ、カワウ、アオサギ、トビ、カルガモ、オオバン、カワセミ、ハクセキレイ、スズメ、ムクドリなど、一年中みられる身近な鳥です。

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両生類

高瀬川(たかせがわ)と小川原湖(おがわらこ)では、これまでに12種の両生類(りょうせいるい)が見つかっています。
春から夏には冬眠(とうみん)からさめたカエルやサンショウウオが山ろくや田んぼの近くの池や水たまりに集まって、産卵(さんらん)を始めます。
やがて、これらの池や水たまりには、たくさんのオタマジャクシがみられるようになります。
早春の雪どけの4月ごろヤマアカガエルが一番早く産卵を始めます。 次にアズマヒキガエル(ヒキガエル、ガマガエルとも呼びます)が産卵を始め、
6月ごろまでにはシュレーゲルアマガエル、ニホンアマガエル、トノサマガエル、ツチガエル(イボガエルとも呼びます)などの 多くのカエルが産卵します。
夕方から夜にかけてはニホンアマガエルやトノサマガエルの鳴き声(カエルの合唱)がうるさいくらいです。
モリアオガエルは池や水たまりの上の木の枝に白いあわのような卵塊(らんかい)を産むので有名ですが、水辺の草にも産卵します。
小川原湖周辺の谷のおくでみられています。 なお、小川原湖のまわりでは外国から入ってきたウシガエル(食用ガエル)もいます。

小川原湖のまわりの谷のおくのわき水では、春に クロサンショウウオ、トウホクサンショウウオ、イモリの産卵がみられます。

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爬虫類

高瀬川(たかせがわ)と小川原湖(おがわらこ)では、これまでに6種の爬虫類(はちゅうるい)が見つかっています。
小川原湖のまわりではあまり多くの種はみられませんが、トカゲの仲間のカナヘビ、ヘビの仲間のシマヘビ、 ジムグリ、アオダイショウ、ヤマカガシがみられます。
ヤマカガシ は田んぼで最も多くみられるヘビで、毒をもっています。

外国から入ってきたミシシッピアカミミガメもみられます。両生類と同じように冬眠(とうみん)します。

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哺乳類

高瀬川(たかせがわ)と小川原湖(おがわらこ)では、これまでに21種の哺乳類(ほにゅうるい)が見つかっています。
哺乳類の多くはまわりや谷のおくにある森や林をおもなすみかとしています。 林の中にいて夜活動するものが多いため、みることは少ないのですが、
残した足あとやふんによると、 田んぼや畑、湖や川の岸まで出てきていることがわかります。
ノウサギ、タヌキ、キツネ、イタチ、ニホンリスがよくみられるものです。

このほか、小さいために目立たないのですが、土の中で生活するモグラの仲間が3種、夜に活動し、 空中でこん虫などを食べるコウモリの仲間が3種、
地中や地表にすみ、おもに夜活動するネズミの仲間が5種見つかっています。
また、数が少なくあまりみることはありませんが、ムササビ、ツキノワグマ、イタチの仲間のテンとオコジョ、カモシカなども見つかっています。

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昆虫類・クモ類

高瀬川(たかせがわ)と小川原湖(おがわらこ)のまわりでは、これまでにクモの仲間が約130種類、
こん虫の仲間が約1780種類見つかっています。小川原湖は本州の北のはしにあり、夏でも大変すずしいので、
寒い地方にしかすまないこん虫や、ほかの地方では山に行かないとみられないようなこん虫が平地の
小川原湖のまわりで多くみられます。

小川原湖のまわりには、湖や川の岸辺、すなはま、湖のまわりの水路や浅く水がたまった草地、
田んぼや林など、さまざまな場所があり、いろいろなクモやこん虫がすんでいます。
大きな街のまわりではなくなってしまったような、護岸(ごがん)のない川岸や湖の岸、
すなはま、広い草地、湿地(しっち)がたくさん残されていて、こん虫やクモの大事な生活の場所になっています。

昆虫類・クモ類マップ

動物プランクトン

動物プランクトンとは、湖や海などの水中にうかんでいる小さな動物のことをいいます。
ほとんどの種類がとても小さいので顕微鏡(けんびきょう)を使わなければみることができません。
高瀬川(たかせがわ)と小川原湖(おがわらこ)では、
これまでにおおよそ150種類の動物プランクトンが見つかっています。
このようにたくさんの種類がみられるのは、高瀬川や小川原湖が淡水(たんすい:川の水)と海水(海の水)とが
混じり合う汽水域(きすいいき) という場所になっていて、
淡水にすむ種類と海水にすむ種類の両方がみられるからです。
淡水にすむ種類は小川原湖や姉沼(あねぬま)、 内沼(うちぬま)で、
海水にすむ種類は小川原湖の北の方や高瀬川で多くみられます。

高瀬川や小川原湖で最もたくさんみられる動物プランクトンはワムシの仲間やセンモウチュウの仲間などです。
そのなかでも最も多いのがTintinnopsis cratera(ティンティノプシス クラテラ)という種類で、
とくに秋から冬に小川原湖で多くみられます。

このほかにもPolyarthra trigla vulgaris(ポリアルスラ トリグラ ブルガリス)、
Copepoda(Nauplius larva)(コペポーダ亜綱(ノープリウス ラーバ))、
Keratella quadrata(ケラテラ クアドラータ)、
Keratella cruciformis(ケラテラ クルキフォルミス) といった種類などがたくさんみられます。
Keratella quadrata(ケラテラ クアドラータ)は冷たい水が好きなので、
暑いところではあまりみられない種類です。

動物プランクトンマップ

植物プランクトン

植物プランクトンとは、湖や海などの水中にうかんでいる小さなそう類(植物の仲間)のことをいいます。
ほとんどの種類がとても小さいので顕微鏡(けんびきょう)を使わなければみることができません。
高瀬川(たかせがわ)と小川原湖(おがわらこ)では、
これまでにおよそ210種類の植物プランクトンが見つかっています。
このようにたくさんの種類がみられるのは、高瀬川や小川原湖が淡水(たんすい:川の水)と海水(海の水)とが
混じり合う汽水域(きすいいき)という場所になっていて、
淡水にすむ種類と海水にすむ種類の両方がみられるからです。
淡水にすむ種類は小川原湖や姉沼(あねぬま)、内沼(うちぬま)で、
海水にすむ種類は小川原湖の北の方や高瀬川で多くみられます。

高瀬川や小川原湖で最もたくさんみられる植物プランクトンは珪藻(けいそう)という仲間です。
その中でも最も多いのがCyclotella glomerata(キクロテラ グロメラータ)という種類で、
特に夏から秋に多くみられます。 Cyclotella glomerata(キクロテラ グロメラータ)は、
高瀬川や小川原湖ではたくさんみられますが、 日本のほかの場所ではあまりみられないようです。

このほかにも、春には黄金色藻(おうごんしょくそう)という仲間のUroglena sp.(ウログレナ属)、
夏には珪藻の Stephanodiscus hantzschii(ステファノディスクス ハンチイ)、
冬には珪藻のMelosira sp.(メロシラ属)、緑藻(りょくそう)という仲間の
Chlamydomonas sp.(クラモドモナス属)といった種類などがたくさんみられます。

植物プランクトンマップ

付着藻類

付着藻類(ふちゃくそうるい)とは、川や湖の底にある石などについている
小さなそう類(植物の仲間)のことをいいます。
川の石の上を歩くとき、ツルツルすべるコケのようなもののことです。
茶色や緑色にみえるのはとても小さな細胞(さいぼう)がたくさん集まったものです。
高瀬川(たかせがわ)と小川原湖(おがわらこ)では、
これまでにおおよそ290種類の付着藻類が見つかっています。
このようにたくさんの種類がみられるのは、高瀬川や小川原湖が淡水(たんすい:川の水)と
海水(海の水)とが混じり合う汽水域(きすいいき)という場所になっていて、
淡水にすむ種類と海水にすむ種類の両方がみられるからです。
淡水にすむ種類は小川原湖や姉沼(あねぬま)、内沼(うちぬま)で、
海水にすむ種類は小川原湖の北の方や高瀬川で多くみられます。

高瀬川や小川原湖で最もたくさんみられる付着藻類は珪藻(けいそう)という仲間です。
その中でも最も多いのが、Navicula halophila(ナヴィクラ ハロフィラ)や
Aulacoseira distans(オウラコセイラ ディスタンス)という種類です。
また、珪藻ではありませんが、藍藻(らんそう)という仲間の
Homoeothrix janthina (ホモエオスリックス ヤンティナ)という種類は
高瀬川と小川原湖で最もたくさんみられる付着藻類です。
Homoeothrix janthina (ホモエオスリックス ヤンティナ)は高瀬川や小川原湖だけでなく、
日本のほかの場所でもたくさんみられる種類です。

このほかにも、高瀬川では紅藻(こうそう)という仲間のCompsopogon sp.(コンプソポゴン属)という
めずらしい付着藻類もみつかっています。
Compsopogon sp.(コンプソポゴン属)はオオイシソウという付着藻類の仲間で、
高瀬川では夏にたくさんみられるようです。

植物プランクトンマップ