さんりくボイス

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「三陸縦貫自動車道」沿線の、地域づくりやまちおこし、地元の皆さんの声をお届けするコーナーです。
H23/2更新
 「高田道路・吉浜道路だより」平成23年1月31日号掲載  
 酔仙酒造  金野 靖彦 さん
創業から60年余と歴史ある酔仙酒造ですが、時代とともに変化してきたことはありますか。
 最近は不況に加え、ライフスタイルや価値観の変化に伴い、日本酒の消費が減少している傾向にあります。日本酒は「最もアルコール度数の高い飲み物」であるということもネックとなり、あまり手が伸びなくなってきているのではないでしょうか。最近はカロリーオフやゼロ系飲料がヒットしたことを受け、カロリー1/2の「華の宵」の販売を開始するなど、現代のニーズに合う新しいお酒の開発にも取り組んでいます。
 また、海外に比べると、日本の食卓には「食事を楽しむ」ゆとりがないように思います。オーストラリアなどでは休日は家族で外にテーブルクロスを広げて10時のティータイム、昼になると今度は別のテーブルクロスを広げて食事をするそうです。普段から食卓を演出し、料理とそれに合うお酒を選び、時間をかけて食事を楽しむ。そうすれば、心も豊かになりますよね。現代のライフスタイルに合った日本酒を提供するだけでなく、そういった食卓提案もしていきたいと思っています。
酔仙酒造として、今後取り組んでいきたいことはありますか。
 具体的には酒と地元の特産やうまいもの、そしてそれを楽しむための空間を提供し、「ここに来れば酒がいい状態で飲める」という場にすることが夢です。それには我社の製品だけでなく、地元をどんどんアピールしていく必要がある。例えばお客さんが蔵を見学した時によく「ここは水が美味しいのですか」と聞かれますが、水の成分の話をするより、杜氏が一言「ここの水は美味いですよ」と言えばものすごく説得力がありますよね。この地域の豊かな海産物も同様、多少言葉は荒くても、漁師さんの口から直接伝えてもらうことで本当の美味しさをアピールできるのでは・・と考えています。
 また、酒造りを見学していただくだけでなく、酒を楽しむ空間として、この歴史ある敷地内に手作りの売店や日本酒のミュージアム的なものも作りたいですね。今後も陸前高田の酒を提供する、新しい場づくりに取り組み、観光会社へもどんどん働きかけていきたいと思っています。


  酔仙酒造の建物は昭和の初期に岩手県是製糸会社として建てられたもの。平成11年、国の登録有形文化財に指定されました。


       
       趣のある事務所の外観

倉庫にも歴史が感じられます

三陸縦貫道の整備が進んでいます。この道路に期待することがありましたら、お話いただきたいのですが。
 商品の流通についてはすべて運送会社へお願いしているので、直接整備効果を肌で感じることは少ないのですが、現在の流通ルートは、県内全域、北海道、宮城、首都圏、そして長野、新潟あたりまでとなっています。また、今は中国の市場への取り組みも行っており、頻繁に大連へ行っているのですが、三陸道が整備され、仙台空港までの時間短縮が図られれば、より中国へ足を運びやすくなるだけでなく、向こうからの観光客も期待できます。
 私は観光協会の仕事にも携わっているのですが、今後は海外からの観光誘致も念頭に、トイレなどの公共施設に英語・中国語・韓国語での表記を行ったり、この地域の持つ素晴らしい観光材料を前面にアピールして、道路の利用効果を果たせるよう仕向けていかなければならないと思っています。また、他地域と連携し、観光の広域化も図っていきたい。歴史的にもこの地域には埋もれているものがたくさんあります。そういうものを交流によって掘り起こし、広めていきたいですね。そういった意味でも観光ルートとして三陸道が果たす役割はとても大きいと思っています。この地域には素晴らしいものがたくさんあるということを知っていただきたい。それにはまず、たくさんの人にここに来て欲しいと思っています。
 新しい道路に期待していたが、期待はずれであったり、逆にお客を取られるのではと危惧していたが、かえって良くなったなど、道路は開通してみないとそれがもたらす効果は分からないものですが、道路が良くなれば、必ず何かがそれに追随して良くなっていくのではないでしょうか。今後整備が進んでいくに従い、「おらほの道路」という意識を地元の方々にも持ってもらい、どうやって利用していくかということを考えていかなければなりませんね。三陸道の整備効果はまだまだ未知数ですが、私たちにとって大きな大きな希望であると思っています。
(酔仙酒造株式会社 代表取締役社長)



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