福岡さんのお宅にお邪魔したのは今年2月中旬でした。物珍しい懐かしいコレクションに圧倒されました。時間をかけて収集した重宝の品々と珍品の数々。それぞれに見合った屋内の造り〔設計〕と陳列の仕方にも感服しました。お宅そものもが博物館のような感じでした。
写真も、文章でも、そのほんの一部分より紹介できないことに恐縮し、お詫びします。
あらかじめ都合の良い時間を伺っていました。福岡さんの近所の勝長さんもご一緒してくれて至極、心強かった。また好奇心の強い家内も同行した。
福岡さんは寒い冬の日にもかかわらず、温かく迎えてくださり車を誘導された。
門をくぐって敷石を歩いて間も無く、玄関の横に昔懐かしい赤茶色の「箱橇」が今にも滑れるような状態で雪の上に置かれていました。「箱轌」に乗ると頭の当たるところに子供が喜びそうな可愛い模様もセットされ郷愁にさそわれました。魅せられて早速撮らせて貰いました。
玄関に入ると直ぐ右手に「熊が鮭を抱えた」大きな彫り物が来客を迎えてくれる。そして玄関正面の壁面は国会議事堂内の物品と同じとのこと。重厚な朱色がかった布地である。そこに半径2m位の「大きな飾り扇子〔竹林に孔雀鳥、花〕」が飾られていた。
見るからに堅牢な馬橇1台には分厚い板材の上に数本の珍しいこけしやアイヌの彫り物が置かれている。また右手にはピアノの上にカップ・各種の受賞盾、ギターにシャンデリアのしゃれた一角もありました。
縁側にも馬橇が1台。「キジの剥製」や「ケラの掛け物」、「舟をかたどった置物」の上に花びんを配置し、展示に凝っていました。
座敷には、すごく厚い3,40cmの「大小のテーブル」2台。大の方は550年の年輪との説明でした。
グリーンの布地裏張りの「熊の毛皮」も敷かれていた。「黒檀の茶タンス」の戸は入れ物によっては自在に取ったり、嵌めたり出来る重宝なものでした。
また古木に磨きをかけた「衝立」は高さ2m近く、幅1,5m位は貫禄十分でした。人形の入ったケースも違い棚と床の間や茶タンスの上にも置かれていた。切り株の火鉢〔高さ30cm、直径1m位〕も見事な置物であった。
隣の部屋は、夏向きの装いで巨大な牛の毛皮が壁面に掲げられていた。
また、ところ狭しと沢山の愛蔵品がありました。
色紙や飾り皿も多く、見る目のない私には、どのように表現したらよいか戸惑うばかりでした。今は昔、昭和初期から見た懐かしい高級な品格を目の辺りにした。それぞれの逸品が何やら語りかけてくるような「おとぎの国」にいざなわれ、夢中に撮らせて貰い、いい時間を過しました。
そして茶の間で桜餅をご馳走になって、思い出話にくつろ寛ぎひと足早い春を胸に家路に着きました。
〔写真、文 川村四朗〕 |