国土交通省 岩手河川国道事務所
「堤防施工に伴う衣川橋の対応に関する懇談会」


趣旨書


 一関遊水地事業では、太田川及び柳之御所関連の堤防について、今年度中に完成の見込みとなり、また、これからの事業の重点となる衣川地区では、国道4号バイパス(橋梁含む)、JR東北本線(橋梁含む)に関して、平成19年度までの改築を目標とすることになりました。

 しかし、まだ、国道4号衣川橋(現道橋)の対応策が定まっていません。衣川橋は、バイパスの建設により、地方自治体への路線引き渡しを検討する段階ですが、付近は、国の特別史跡中尊寺に接し、また、県の景観条例の景観形成重点地域に指定される等、社会的に重要な地域であるため、景観や文化財の面から、非常に注目されている地域です。

 このため、岩手河川国道事務所としては、治水対策と交通機能のみの要素だけではなく、文化財、観光、景観、まちづくりといった視点も考慮に入れ、対応策を検討していきたいと考えており、施設設計に先立ち、これらに深く関わっておられる、地域の方々や学識経験者から、意見を聞くものです。

衣川橋浸水写真(H14.7.11)


委員名簿

所 属 ・ 役 職
氏  名
 平泉町遊水地対策地権者会 理事   岩 渕   汪
 平泉メビウスの会 事務局   遠 藤 セツ子
 岩手県生涯学習文化課 文化財保護監   小田野 哲 憲
 岩手大学工学部 教授(河川工学)   堺   茂 樹
 衣川村 村長   佐々木 秀 康
 中尊寺 執事長   佐々木 邦 世
 衣川村 文化財調査委員   高 橋 利 明
 平泉町 町長   千 葉 和 男
 平泉町 商工会 会長

  千 葉 庄 悦

 衣川村 池田行政区 区長   三 浦 賢 治
懇談会の開催経過

 
開催月日
場 所
 議   事
第1回
平成15年 7月10日
平泉町役場
会議室
一関遊水地の整備状況と整備予定
平泉バイパスをはじめとする直轄国道の整備状況と今後の予定
治水からの衣川橋の扱い
遺跡について(遺跡調査結果)
現地調査
意見交換
第2回
平成15年 10月8日
平泉町役場
会議室
まちづくりと国道4号について
衣川橋の対応策について
景観について
意見交換
第3回
(最終)
平成15年 11月25日
ホテル武蔵坊
堤防高の決定根拠について
住民ヒアリング結果について
衣川橋改築予想画像(CG)について
懇談会としての意見のまとめについて

懇談会模様写真

懇談会意見のとりまとめ


 平泉町、衣川村地域は、現在、中尊寺境内や毛越寺跡をはじめとする「平泉の文化遺産」の世界文化遺産登録を目指して、まちづり、史跡保存、景観保全等に取り組んでいます。
 このような中、平成15年7月から3回にわたって、衣川に架かる国道4号衣川橋の今後のあり方について懇談を行い、その要点をまとめました。

1.遺跡については、これまでの調査結果を受け、引き続き関係機関と調整の上、法令等に基づいた事前調査で確認を行う。

2.堤防整備後は、内水による冠水が懸念されるので、治水の観点から、出来るだけ対応を進める。

3.道路構造として、橋梁は、洪水時に流木が引っかからないよう橋脚の間隔や高さを確保する。取り付け道路については、利用面から可能 な限り勾配を緩くする。

4.道路改良のルート選定にあたっては、なるべく、地域が分断されないよう配慮する。

5.景観については、岩手県制定の景観条例での視点場と共に、中尊寺山麓から束稲山の景観を遮断しない等、地域に住んでいる人達の意識 を尊重する。

6.道路改良計画の策定にあたっては、地区住民へ説明を行い、意見の反映に努める。

 以上、衣川橋の改築については、安全性、機能性、経済性、景観や維持管理等を総合的に勘案し、現在のところ橋梁案が最善と思われますが、上記の1〜6までの事項に十分配慮し、設計を進めるよう要望します。
 また、今後、用地調査・買収、遺跡調査等も併せて進めることと思いますが、工事着手前には、上記の意見が、最終的に、どのように反映されたかの説明をお願いします。


  平成15年11月25日
  堤防施工に伴う衣川橋の対応に関する懇談会