【特集】
自然との共生をめざした暮らしを体験する



キャンプ施設を有する衣川青少年旅行村と廃校となった衣川小学校大森分校を統合し、リニューアルして平成13年5月に誕生したのが、「衣川ふるさと自然塾」。
ふるさと自然塾では、キャンプなどのアウトドアをはじめ、 自然と共生する暮らしを体験できる各種体験講座があります。
そのあらましをご紹介しましょう。

ふるさと自然塾の職員の皆さん。
左から、千葉壽さん、小形一男さん、鈴木悟さん、菊地清子さん


ふるさと自然塾ってどんなところ?

 衣川ふるさと自然塾は、廃校となった衣川小学校大森分校と隣接する衣川青少年旅行村を活用し、山村の暮らしを体験しながら自然と人との共生の在り方を学ぶ施設として環境省初の指定を受け、平成13年5月に発足しました。

 このふるさと自然塾を企画した衣川村役場では、「私たちの暮らしは、文明の恩恵によって便利で豊かになりました。その反面 、環境破壊や心の荒廃など、文明による弊害も浮き彫りになってきているのも事実です。昔のように、薪を割って沢から水を汲んでご飯を炊く。これは、一見すると不便なように感じますが、よくよく考えればそれだけの時間をご飯炊きのためだけに費やすゆとりがあった。そのゆとりこそ、本当の豊かさなのではないでしょうか。ふるさと自然塾では、現代社会が置き去りにしてきた、自然と共生し暮らしてきた豊かな時間をもう一度取り戻そうとの願いが込められているのです」と、ふるさと自然塾発足の目的を語ってくださいました。


手前が中央管理棟、そして奥が「ハーブ工房ティータイム」

「ハーブ工房ティータイム」では、地元で栽培した本格ハーブティと、菊地さんご自慢の手作り菓子が楽しめます。
ティータイムにあるピアノは、大森分校に備えられていたピアノで、誰でも自由に弾くことができます。静かな森の中で、心ゆくまで演奏を楽しむことができます。

 

自然塾の楽しみ方は、実に多彩

 ふるさと自然塾では、自然とのふれあいを体験するための各種観察会(森の観察会、川の観察会、クマウォッチングなど)をはじめ、田んぼや畑作業などの農のある暮らしを体験することができます。

 この春から施設の管理を担当している千葉壽さんは、「あまり肩肘を張らず、ここに来ると『楽しい』とか、『やすらぐ』などと感じられることを積極的に仕掛けていきたいと思っています。その手始めとして、本格ハーブティーが楽しめる喫茶「ハーブ工房ティータイム」をオープンさせたり、地元の農家の方々がつくった野菜や漬け物などを持ち寄ったフリーマーケット、また自然の中で音楽を楽しむミニコンサートなどを開催してきましたが、けっこう皆さん楽しんでくれたようですね」と、これまでの数カ月の活動を振り返ります。



旧衣川小学校大森分校の校舎。校内には教室、体育館があり、地域のコミュニティセンターやキャンプ施設の緊急避難場所(雨など)としても活用されています。


廃校リニューアル50選に選ばれる

 大森分校は、作家の三好京三さんが教員として勤務し、直木賞を受賞した「子育てごっこ」の舞台となった学舎でもあります。

 平成10年3月に惜しまれて閉校して以来、およそ5年の歳月が流れましたが、昭和31年に建てられた校舎は大した傷みもなく、校内は今でも児童たちが学んでいるかのような、凛とした趣を漂わせています。

 その大森分校が、今年6月、文部科学省選定の「廃校リニューアル50選」に選ばれました。これは、廃校を積極的に利用して成功を収めた事例を全国から選出し紹介することによって、さらなる廃校の積極活用を促進しようというもので、岩手県内では葛巻町の上外川分校と大森分校の二校が選ばれました。ふるさと自然塾のこれまでの活動実績が認められたのです。


新たに建てられた15人が寝泊まりできるバンガロー。

大森地区の人々が主体となって実施されたフリーマーケット。格安で新鮮な野菜や手作りの郷土料理は、あっという間に売り切れるほどの人気でした。

これからの新しい活用法を模索

 ふるさと自然塾がスタートして2年の歳月が流れましたが、すべてが順調とはいかないようです。千葉さんは、「まずは、もっともっと利用していただくお客さまを増やして、経営を軌道に乗せることが第一と考えています。そのために、色々とアイディアと知恵を出しながら、『ここに来れば、いつも何かおもしろいことがある』といった期待感をイメージとして定着させることが大切と、現在、職員が一丸となってハード・ソフト両面 の整備を懸命に行っています。ぜひ、遊びに来てくださいね」と、これからの抱負を語ってくださいました。

 ふるさと自然塾は、泊まりがけのキャンプや体験学習だけでなく、ちょっとお茶を飲みに喫茶店に出かけるような感覚で訪れても十分に楽しめる場所です。この夏、自然を満喫するためにふるさと自然塾へ足を運んでみてはいかがでしょうか。




埼玉県出身で、人気漫画家の五十嵐大介さん(34)は、ふるさと自然塾での催しに参加して、この大森地区の自然が気に入り移住してきました。執筆活動と並行して畑仕事もこなし、田舎暮らしを満喫しています。五十嵐さんの原画展が、ハーブ工房ティータイムで開催されています。


◆ご利用案内◆

宿泊施設
◎バンガローA
 (中2階建て15人用・6棟 …8,000円)
◎バンガローB
 (ケビン8人用・5棟 …2,060円)
◎バンガローC
 (バンガロー8人用・4棟 …2,060円)
◎バンガローD
 (丸太小屋8人用・2棟 …2,060円)
◎貸しテント
  (A型4人用 …720円)
  (ロッジ型4人用 …1,030円)

備 品
◎毛布、マット、炊事用具
 (一泊それぞれ一人あたり …100円)

バス送迎
◎基本的にはバス送迎は行いません。

自然の学校
◎材料費(実費)
◎インストラクター
 (10人に一人・半日 …3,000円/人)
※事前にお申し込み下さい。


【お問い合わせ・お申し込み】
衣川ふるさと自然塾
〒029-4301
岩手県胆沢郡衣川村大字上衣川字下大森109-3
TEL&FAX.0197-52-6180
E-mail furusato.s_v@vill.koromogawa.iwate.jp