【特 集】 |
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日本一の茅葺き屋根の本堂で知られる「正法寺」は、老朽化に伴い 近年としては最も大掛かりな「平成の大修理」事業が行われています。 その正法寺に古くから伝わるという「正法寺の七不思議」。 それらには、いったいどのようなエピソードが隠されているのでしょうか? 今回は、正法寺の大改修の様子とともに、「正法寺の七不思議」の謎に迫ってみましょう。 |
(7)慕弥の扇 この扇には「伊勢松坂扇屋怪談」という言い伝えがあります。それによると、昔、奥州安達郡の田村藩士亀井辰治郎という文武両道に優れ、たいそう美しい若者がいました。ある日、村人に誘われ辰治郎はお伊勢参りに出かけます。その帰り、みやげを買おうと立ち寄った松坂の扇屋の娘お鶴から「ほやの扇」といって、扇を手渡されました。しかし、同行者がこれをねたみ「ほやの」は「ほいと(乞食)」の意味だと嘘を教えられ、これに怒った辰治郎はお鶴を手討ちにしてしまいます。ところが、後で「ほやの」が「お慕いしています」という意味だったことを知り辰治郎は自責の念にかられ、お鶴の位 牌と祝言をあげます。辰治郎は、毎日写経をして霊を弔っていましたが、お鶴が亡霊となって辰治郎の前に現れ二人の間に子供が生まれます。そして、お鶴はその子を出家させるよう頼むと消えてしまいます。その子は、泣き声がまるで経文のようだったと言いますが、やがて大本山総持寺二代住職の峨山紹碩禅師に引き取られ育てられました。その子は大変聡明に育ち、正法寺開山無底良韶禅師となられました。 |
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