主 要 な 意 見 の 概 要

<意見交換>

(発言者)●:委 員
●:事務局
1.河川整備計画素案について

資料4、14ページの河川整備の目標に関する事項について、基準地点福島と岩沼における河道分担流量と洪水調節施設での調整前の基本高水流量が括弧内に書いている。
 治水計画の説明にもあったが、狭窄部などの影響を受ける須賀川市など上流を意識した遊水地計画について議論されてきた。阿武隈川の河川水位を考えと、上流の遊水地は須賀川市を含む上流域を意識した施設であるという事を表記すべきである。
 関連して遊水地に関する24ページについて、遊水地の整備で基準地点が福島地点で100m3/sの洪水調節を発揮すると書いてあるのは実状にあってないのではないか。福島より上流も治水効果を高めるということが明記されるような工夫をしていただきたい。

14ページの流量配分図の表記については、基準地点の書きぶりの問題であり、須賀川地点で1500m3/sというのは調節後の流量になっている、これだけ見ると上流の須賀川市に遊水地がどう効果を発揮するのかがわからない。
 表記については、事務局と相談させていただくが、計画流量としては、いかにも福島市の洪水調節を目的としたような誤解を受けやすいのではないかと理解している。
 これまで説明したように、阿武隈川の場合は上流に行くほど整備達成度が低いという河川特性であり、しかも、上流の改修が下流に敏感に影響するのでそれを回避しながら上流の安全度を上げようとすると、上流に池を作って貯めるという方法が大変合理的だという前回までの説明に対するご意見をいただいたところである。
 福島地点で100m3/sの洪水調節効果を発揮するということは事実であり、それを盛り込んだ遊水地計画の詳細を今後決めることとしたいが、須賀川、郡山、福島と上流から下流に向かって順次遊水地の効果が発現するということをもう少しわかりやすく本文にも書かせていただきたい。

治水に関して目標が戦後最大洪水である昭和61年8月洪水とすることはよくわかるが、一方ではこれが60年に1回の洪水に対応するという表現も相対的な規模を表す意味では判りやすい。差し支えなければそれも併記していただきたい。

今の意見に沿った形で考えたいが、我々が安全度主義で1/○○という言葉を使いすぎており、それがわかりにくいという指摘もあり、具体的な洪水で目標管理したほうがいいだろうと思いこのような表現にしている。
 素案68ページの「戦後最大である昭和61年8月洪水と同規模の洪水が発生した」というところに対する注釈をコラム形式で「昭和61年8月洪水とはどの程度の規模の洪水か」ということを加える工夫をする。概ね60年に一度位の洪水という目安がつくような表現としたい。

関連して、整備目標の記述方法について、(1)安全度確保、(2)狭窄部の氾濫被害の対応、(3)内水被害の対応というのは、実は全て氾濫被害の対応という括りの1つであり、この内容については、洪水氾濫被害の対応という大きな括りの中で、外水と狭窄部の対応と内水の対応を1つの柱として括り、次に、大規模地震と危機管理対策という形に変えさせていただきたいのでご了解いただきたい。

素案68ページ69ページ 図4-1の表現だが、主要地点における河道の目標流量という図のタイトルにさらに※印で括弧は目標流量とする表現はわかりにくい。図のタイトルは河道配分流量という用語で表現しておいて、括弧内は目標流量とすれば整合する。
 流量配分図で、遊水地のところに矢印でマイナス毎秒100m3/sというような数値の記述は無理か。

河道配分流量、目標流量の説明も含めて修正する。
 河道配分流量は、洪水調節施設で調節後の河道流下流量の意味だと書かないと理解しがたいので、先ほどの昭和61年8月洪水の説明のように、公表する際には対応したい。
 それから、遊水地の調節効果の100m3/sというのは、福島地点での調節量を100m3/sと表現しているのであり、遊水地地点での調節量はもっと大きい。

整備計画の目標として、大まかな計算で福島地点100m3/sの効果はあるということであり、現時点では調節方法によって遊水地による調節効果量に振れ幅がある状況である。
 そういうことなので、遊水地を整備計画の本文に書き込むのは、遊水地の詳細設計が終わった時点でなければダムと同様に明確に書けないことをご理解願いたい。

内水被害について、基本理念にあるように、これからはますます内水被害がクローズアップされてくることは当然考えておかなければいけない。
 資料4 16ページを見ると、整備前と整備後で外水を対象としているとの表現があり、間違ってはいないが、これを住民等が見た時に河川整備が進めばまったく災害がなくなるという変なイメージが出てこないか気になる。
 地域住民にとっては外水も内水も災害は災害であり、内水氾濫等を考慮していない旨一行書いてはいるが、この辺は少し強調しておかないと誤解を受けるのではないか。
 内水に関連して、資料−4 25ページに流域抑制対策が書かれている。氾濫域、氾濫原での整備がどんどん進んでいる。土地利用の仕方自体にまで踏み込んで対策する必要があるのではないかと感じる。
 内水被害危険度ランク図を作られるのは大変結構だと思われるが、これによって内水氾濫原に住んでいる方々が、危険度というものがわかるかどうかはっきりしない。内水の関連について少し言葉が足りないのではないか。

ご指摘については、一行細く書いてあるが、シミュレーション上で内水については考慮しないということを記述したい。

標題のところに「洪水発生時の外水氾濫による被害状況」と入れていただければ結構。

土地利用については、素案69ページ狭窄部の氾濫被害の対応というところに市町村と連携して適切な土地利用への誘導を図るとある。この程度の事は書けるが、都市計画を誘導するような表現は、この整備計画では私どもの責任を越えることになるので書けない。
 しかし、このような表現で流域抑制とともに開発に対する内水のリスクを知ってもらった上で、沿川の土地利用を市町村と連携して誘導していくという思想を委員のご指摘を踏まえて書き込むように検討する。

是非とも、積極的な情報の公開、あるいは、市町村との連携についてよろしくお願いする。

内水のハザードマップは東北管内ではまだ作ったことがない。
 逆に言うと、阿武隈川で率先して作っていくということでもある。

資料−4、16ページの外水氾濫だが、二本松と須賀川には氾濫域が残っている。
 これに対する説明がなければ良くない。これをいつまでにどうするのか。

二本松と丸森のところに氾濫域が残っている。これは土地利用一体型の水防災対策事業の輪中堤と宅地嵩上げを実施している箇所で、青の部分は災害危険区域として指定し、建築基準法の規制をかけ新しい資産の進入を防ぐ地域であり、実状このまま氾濫させた状態が整備計画の状態である。
 説明内容については工夫する。

資料−4、24ページについて、洪水調節のための遊水地を阿武隈川上流域に整備するということは、恐らく現在の浜尾遊水地のさらに上流域の県管理区間になるものと想像される。遊水地の整備は直轄が実施するということを表明している事になるのか。
 前回の議論の中でも県管理の支川や上流域など直轄区間外の支川管理者との連携をどのように実施するのかということについて、議事録の1ページ目に、河川整備計画の中では支川等の河川管理者ときっちりと連携するということを書き込むことになっている。ここに目配りをする必要があるのではないか。

通常のダムと同様であるが、直轄区間外での整備になったとしても国管理区間の基準地点を目標に洪水調節を行うダムは、国で整備することが基本的な考えであるので、河川整備計画を策定した上で河川管理者である福島県と協議しながら、事業の具体性についてお話しする事になる。
 国がただちに実施するということはこの場ではいえないが、基本的な考え方は、国の基準地点に調節効果を求めるという事は、国が責任をもって対応することになるので、誤解のないようにお願いする。

素案の47ページでは、樹木の管理について説明しているが、これは河川の近くの樹木は治水の邪魔になるのですべて切ってしまえというような感じがするので、ここに、『水辺林』という言葉を使い、「水辺林の保護などに配慮しながら」などの文章を入れていただけるとありがたい。
 生物多様性国家戦略という言葉があるが、なるべく水辺林を多く残して、動植物が生息できるような環境を維持していくということは、とりもなおさず我々人間にとっても大切な環境になる。

47ページは水辺林のことを書かないようにしたわけではない。
 河川環境の影響に配慮して、より具体的に書こうとすれば、今委員のおっしゃったようなことを書き加えることは支障ない。ただし、多分に樹木伐採は、流下能力・洪水阻害の状態が高いレベルにある場所で行う必要がある。その際に生態系との関係でいろいろ議論になる場合がある。
 素案107ページのほうに樹木管理についても書いており、全て伐採するような考えは我々としても持ち合わせていないし、河川そのものも生態系を維持するために極めて重要な機能を有しているので、資料の図では伐採しているが、逆にできるだけ残せないかという観点での樹木管理を現場で取り組んでいる。
流下能力確保のために樹木が全部無いほうがいいという考えは現場の責任者も持っていないので、委員のおっしゃられたように表現できるよう工夫してみる。

素案の47ページでは、樹木の管理について説明しているが、これは河川の近くの樹木は治水の邪魔になるのですべて切ってしまえというような感じがするので、ここに、『水辺林』という言葉を使い、「水辺林の保護などに配慮しながら」などの文章を入れていただけるとありがたい。
 生物多様性国家戦略という言葉があるが、なるべく水辺林を多く残して、動植物が生息できるような環境を維持していくということは、とりもなおさず我々人間にとっても大切な環境になる。

現地レベルでは、多自然型川づくりにしても樹木の伐採にしても、かなり影響が及ぶと考えられる場合については、河川工学のいろいろな先生方ももちろんだが、植物・生物の先生方のご意見をいただきながら、実際の管理計画、伐採計画を作成し、実施に移していくという流れに今なりつつある。
 委員からいただいた意見を受け止め、必ずそのような意見を聴きながら実施するという努力をしていく。

素案を見る限りではどういう形で全体がつながるのかということが多岐に渡っているだけに見えないが、資料3を見させていただくと、『ああこれがこうつながるんだ』と判る。
 特に大事なところは5章。目標達成に向けた取り組みの利水のところを見ると、特に水質の保全・改善について、他の項目では循環型になっているのですが、利水のところだけは単独になっている。よく見ると、これは下の環境のところにも非常に密接に関係しているので、是非線で結んでいただき、河川整備にうまくつなげてほしい。
 例えば、水質の保全・改善というのは動植物の生息とか育成環境の保全につながっていくだろうと考えて行くと、これが循環型に結びついて行き、全ての施策がうまくまわっていくというような見方をさせていただきたい。

資料3が大変わかりやすいので、これを是非整備計画本文の中に追加していただきたい。

検討させていただく。これをつけるのはたぶんこの整備計画が初めてだが、初めての事をやっていこうと思う。

素案52ページから55ページで、確かにBODは東北地方の河川の中で一番改善傾向が強いのが阿武隈川というように考えてよいと思う。
 一方、例えば、資料4、10ページにあるように窒素、リンの問題だが、羽太橋を見ると窒素でも0.5だが下流に行くと、だいたい2.0ぐらいになっている。これはリンも同じような傾向である。この問題を解決して、例えば子供たちが泳いでもいいというような川にしていくには窒素、リンの濃度をかなり低くしないと常に底層では付着性の一次生産がなされ、ヌメリの問題がいつもついてまわると考えられる。(ヌメリ:付着性藻類を主体とするレキや河床材表面の生物膜)
 ところが、窒素、リンに対応していくには国土交通省東北地方整備局だけで対応できるかというとそうではない。例えば、国土交通省都市局の下水道部とか環境省、厚生労働省が関わってくる。
 したがって、今回の計画というのはこの形で進めざるをえないと思うが、関連省庁への働きかけをしない限りは河川の水質の保全、窒素、リンも対象とした場合には難しい問題として残る。
 もう一つの見方だが、リンについては阿武隈川の下流の方で概略試算してみると、年間に数百トン出ていることになる。これは資源という考え方をしてみれば、資源が流れているとも考えられるわけで、発生源で窒素やリンを何らかの形で回収するという考え方も21世紀ではあってしかるべきではないかと思う。
発生源で回収できれば、逆に濃度としてはかなり低下させることができる。いわゆる発生負荷量をいかに抑えるかということが大事なのではないかと思う。
 そうすると、今度は支川が問題になってくる。本川に流れ込むには必ず支川から入ってくるので、大臣管理区間というのは国土交通省だが、支川との連携すなわち市町村と水質との関係を支川の水質改善ということで何らかの形で対応するという姿勢が必要になってくるかと思う。
 素案についてはこれでよろしいと思うが、やはり連携を考えるという姿勢がほしいと思う。

河川を管理する者として、流域の方々にそのような意思を配信できるような書き方ができるかどうか、「市町村と連携して・・・」というふうな書き方になるかもしれないが、委員のおっしゃるような問題の元を十分調べて対応できるところについては、記載したい。

素案1ページ1-2河川整備の基本理念の3行目、「全長239km」という表現だが、5ページ目になると「幹線流路延長239km」となっており、後者のほうがいいと思う。

素案17ページ治水事業の沿革で、「明治時代の内務省は低水工事と砂防工事を中心に行っていましたが、大正時代に入りオランダ技術の導入により計画的に治水事業を実施することが可能となり」というところで、前半の部分が当時の内務省の施策的なものだと思う。ところが、大正になって技術的に治水事業を可能にしたという話になると、これは明治43年の大洪水をうけて臨時治水調査会が作られて第一次治水計画が出されて、たぶんそのときに阿武隈川上流も入っていたと思う。
 ここの治水整備については、そのような流れで出てきたことであり、確かにオランダ人の技術というのもあったと思うが、個人的に表現に違和感があった。

これは認識間違いであると思う。
 むしろ低水工事、砂防工事がオランダ技術に支えられ、高水工事に変わるときには、まさに日本人の手により治水調査会などで計画されるわけで、これを全部オランダ人が導入してできたというのは間違いだろうと思うが、こういう記述がどこにあったのか。
 日本の河川工学の歴史をこういうふうに評価すると非常に大きな批判がでてくるだろうと思う。

素案52ページ、水質のmg/Lという表現が出てくるのが、このページのところだけリットルが大文字になっており、それ以外はすべて小文字のようなので統一していただきたい。

このような間違いは、本日でなくとも結構なので、随時事務局の方にお願いする。

素案76ページ図5-4の表現が「堤防整備箇所 位置図」となっており、文章と合わせると「堤防量的整備」と入れたほうがよいのではないか。
 5-6では、「質的整備実施箇所」とか「位置図」として、表現を合わせていただきたい。

素案の計画の主旨で、洪水、利水、環境と書いてあるが、理念においても利水をしっかり考えていくという姿勢をしっかり出していただかないといけないと思う。
 素案6ページ、流域の地形で、北は名取川、南は久慈川とあるが、西が何も書いてない。安積導水や最上流域と書いていただければ、特に猪苗代から水を引いてきていることについては、他のところでは書いてあるが、是非ここでも書いていただきたい。

土砂管理に向けた調査のことを非常にしっかりと流域全体でやると書いてあるが、現状と課題のところに書かれていない。
 例えば、本川の東北電力の蓬莱ダムと信夫ダムで堆積土砂が減っていたり、また、下流の土砂採取を中止したり土砂動態で様々なことが起きていると思う。この現状をしっかり書いておいて、それを元にして土砂管理をしていかないといけないと思う。是非その辺をうまく入れていただきたいと思う。

それから利水の現状については、書かなくてよろしいか。
 モニタリングをどうするとか公共用水域をどうするとか。渇水の話はよく書いてあるが、量的な話がないので、流域として書いておいた方がよいと思う。
どういう書き方がいいのかはお任せする。

水利構造が書けるかどうか、工夫していきたいと思う。

本川は直轄だが、利用されているのは支川が多い。
 支川での水利用の結果として本川があるという認識の元にいろいろと流域展開していくのだと思うが、そういうことも含めて空間的な流域内での取水点を農業用水と上水で分けて整理し、抽出していただきたいと思う。

素案24ページ、25ページにかけて、安積疏水は疏水だけで最大13m3/s程度を取水し、それにのって上水も取水している。
 また、郡山の上水道が独自に猪苗代湖から導水してきており、少なくとも水利用と排水の面では猪苗代湖も含めた形での「流域圏」と言える。
 24ページ発電用水、工業用水と書いてあるが、水道水源としても安積疏水に始まって、その後は郡山市が独自に取水していることは、全体の水利構造を示しているのだということになる。それに関連して次の25ページの図を見ると、郡山市の給水区域、これは三春ダムで全部という印象を受ける。しかし、本来6,7割は安積疏水などで猪苗代湖から来ている。せっかく猪苗代湖が標記してあるので猪苗代湖から導水しているという表現にしていただければ、上水については先ほどのような流域圏的なニュアンスが出ると思う。

素案55ページの上「関係機関や地域住民と連携して水質悪化の防止に努める」とあるが、悪化の防止というのは消極的な感じがするので、より一層改善するなどという方が積極的ではないかと思う。
57ページのかこみで、それぞれの地域の特徴をあらわすのはよいが、三春ダム湖の水質の保全対策、水質の保全対策だけでよろしいのか。むしろ生態系保全対策、つまり土砂を下流に流すとか、そのようなことも含めて実施している。つまり、全国的に見て特徴があるということがこれだけではわかりにくい。生態系保全を実施しているということを加えてほしい。
 もう一つの特徴は、この文章の中に「学識経験者や専門家の・・・」と書いてあるが、ここではまさに民間の研究機関がダム完成以前から自分の資金を出して研究施設を設置し独自に研究を実施しているということが非常に重要で、特定の名前は出さないにしても、ダム完成以前から民間研究機関がモニタリングしながら研究しているということを外部に発信したい。
  そういうことも含めて三春ダムの活動がわかるように工夫していただきたいと思う。

三春ダムの民間の研究所は我々も承知し、連携もしている。
 記載方法については、民間研究所という表記ではここでは特定されてしまうので、「地域の研究活動」などの表現になる可能性もありますが、ご了承願いたい。

整備計画になじむかどうかわからないが、「はじめに」はあってもなくてもよいが、「まとめ」としての決意表明のようなところを最後に書いていただくのがよいという印象を受けた。ご検討いただきたい。

素案8ページ、文章では「年平均降水量」、図では「平均年降水量」となっている。

今回の整備計画の中では、遊水地の計画、災害危険地域についてふれられた。災害危険地域というのは、都市計画建築基準法というある種別の領域の枠組みと連携したということになる。
 それから浜尾遊水地の場合は全面買収で整備しているので、ある意味では土地利用は河川整備計画に則った専門的な考え方で遊水地の計画が考えられる。しかし、今これから考えようとするさらに上流域の遊水地計画は、予想だが、すでに水田等の整備がかなり進んでいるところで、北上川の一関遊水地と同じような農業的な土地利用をしながら遊水地として使うこととなり、農業政策や農村計画との関わりが出てくる。
 長い河川整備の歴史の中で恐らくそのように農業や農業的な土地利用、都市計画的な土地利用との関係が徐々に認識されてきていることを私は重視している。
 そういう意味では阿武隈川の2つのある種の手法というのは、単に河川の中だけではなく、その周辺の土地利用との関わりをかなり重視する事になってきていることを評価すべきであり、整備計画に位置付けとして載せてもいいのではないか。

一つに災害危険区域,建築基準法の枠組みの中で市町村に条例を作ってもらう。それは、例えば家屋のあるところだけは短期間に守るために連続堤でなく輪中堤でやるということである。その外側には新しい家を建ててはいけない。建てるとすればこの高さまで盛土して建ててもらわないとまた同じように水没するということを何回も首長とお話させていただき条例を作る。首長の判断なので、そういう意味で我々は条例を作らなくてはならないというところまで踏み込めていない。
地域とのコミュニケーションの中で阿武隈川と北上川の一部において少しずつそういうことが地域に受け入れられてきて、条例を作っていただいているということなので、阿武隈川独自の展開というよりも河川行政がそういう広がりをもってやってきていることには間違いない。どう書くかということは非常に難しいところがある。
 それと、先ほどの遊水地の話で、土地利用を考えて遊水地計画を立案すべきだというご意見をいただいた。我々としては、具体的な遊水地の造り方について、浜尾遊水地型にするのか一関遊水地型にするのか、まだそこまでのレベルの議論はしていない。
 ただ合理性を求めることや地域社会等を考えた時にどういう展開になるかということもあるので、ご意見としてはいただいておくが、一関型になるのか浜尾型になるのかというのも、これから整備計画を策定した段階以降で、所定の時期に地域に意見を伺うことが必要だと考えているので、今どういう形にするかは決めていない。
河川整備計画の上位計画である河川整備基本方針はもっと大きな阿武隈川のビジョンを示してくれる計画であって、それを実践するための段階が河川整備計画である。
 さらに実行するための実施計画というのは、また我々が作らなければならない。それについては、さきほどの福島県との協議や地域の意見、そういうものをひとつひとつこなしてから遊水地の形がみえてくると思うので、委員からいただいた意見については、ご意見としてこれからの事業の参考にさせていただきたい。

申し上げているのは、整備計画の中で県や流域の市町村とどういう連携をしていくのかということである。整備計画そのものがそういう連携のプロセスが必要だというところに位置づけていただきたいという趣旨。
 ディテールを今つめようという趣旨で話しているわけではない。

素案の河川整備を総合的に行うために必要な事項のところに、さらに様々な各種行政や地域などと連携を深め総合的な話し合いをしっかりやっていくという姿勢を書き込むことについて検討させていただく。

災害危険区域の指定について、二本松の実例をかこみで紹介することはできないか。
 一般的に、中央の法律でやろうとしてもとてもできない。だから地域でそういう努力をしていくということを河川サイドで見せる意味でも、是非地域の協力を得てやっているという囲みで入れていただければと思う。

素案の80ページに、「阿武隈川の整備を進めるとともに市町村による災害危険区域の指定を促し、適切な土地利用への誘導を図ることで、被害の拡大防止に努めます。」とあるが、災害危険区域の指定というところのコメントに少し手を入れ、二本松と丸森地域では市町村が条例を策定して実施した実例を次回入れる。


2.その他

大変貴重なご意見、整備計画のまとまり、本当にすばらしいと感心する。個人的にも阿武隈川の水害被害のつながりで昭和42年ぐらいから川はみてきたつもりである。非常にいい勉強になった。

議論を拝聴させていただき、大変勉強になった。素案については大変多岐にわたり、よくまとめられたと私個人としては感じている。

このほかで気がついたこと文言の訂正などがあれば、事務局に連絡してください。もし、事務局として難しいような意見がある場合、その委員あるいは委員長・副委員長と打合せして訂正しながら次の委員会への資料としてまとめたいと思います。

国土交通省 東北地方整備局 福島河川国道事務所
福島県福島市黒岩字榎平36 TEL:024-546-4331(代) FAX:024-539-5381

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