主 要 な 意 見 の 概 要

<意見交換>

(発言者)●:委 員
●:事務局
1.阿武隈川との関わり・想いなどについて

今回は、第1回の委員会であり、事務局から阿武隈川についての説明をいただきました。この時間の意見交換は、委員の皆様方が今までどのように阿武隈川とつきあってこられたか、あるいはどのように思っておられたか、ご紹介を交えながら、自己紹介をしていただきたいと思います。

阿武隈川の水質というのは、自然的な要因と人為的な要因が重なって必然的に水質が悪化しているという現状であり、清流に戻すためには流域に住む人の大変な努力が必要であると感じている。

安全安心ということを考えるとまず洪水だが、阿武隈川では過去4年毎や8年毎など4の倍数に水害が起きており、今年が危ないと心配している。水質については、上流部の下水道などの整備により、大分改善されてきている。

三位一体改革等、地方6団体としても要望したが、河川整備などの事業の費用が自治体にばらばらで入ってくるとすれば、阿武隈川を体系的に整備するということができなくなる。20年後、30年後を考えた場合体系的に整備するための財源が心配である。

子供達に学校などで、きちんと阿武隈川に関わる勉強をしていただいた上で、阿武隈川に親しんでもらう様にしないと、親水公園を作っても誰にも使われず、作った人間だけが満足しているということもある。

阿武隈川の本川そのものはどちらかというと治水上の性格が強いと感じている。

阿武隈川の地域社会は、大滝根川や郡山市など、支流域に主要な地域社会・産業が蓄積されていて、阿武隈川本川はまさに流末処理の川かもしれないという感じがする。
 したがって、阿武隈川そのものについては、利水、治水あるいは環境という事についてはあまり大きな関心が図られてこなかったのではないか。
  支流域の中での地域社会を考えると、この整備計画は直轄河川の部分が対象になるが、県や市町村管轄の河川との関係をどうするかで内水被害にも関わっていくし、そこの連携や役割分担をどうするかがまさにこれからの課題ではないのかと思っている。

ハザードマップの作成に携わった際に、我々が期待しているような形で地域の方々は川を見ていただけないという部分が見られた。
 水害のある所に住んでいる方は常に安全にしてくれと言い、洪水の災害を受けない所に住んでいる方は環境を良くしてくれというように、それぞれのおかれている立場から川に対する思いをいろいろな形でぶつけてくる。その点を整備計画の中でどう調和させていくか、大変難しいが、少しでも多くの方が理解できるような形でまとめて行く必要がある。
 あわせて地域の方々が理解できるレベル、理解できる言葉で説明するということがいかに大変かということをハザードマップなどの仕事を通して痛感している。

設立趣意書にある豊かで潤いのある質の高い生活を考えたとき、いわゆる、うさぎ追いしかの山に見られるようなふるさと作りをぜひ次の世代のためにもすすめていければ良いと考えている。
 そういった面で阿武隈川を考えるときも、支川の水質改善について、今までBOD中心で考えてきたものを窒素・リンを加えて考えて行く必要がある。
 水の流れも、質の問題も自然的な課題と人的課題があるとすると、人的課題にもっと力を入れる必要がある。
 水循環と有機物循環をできるかぎり独立させる具体策や、次の世代が自然を本当に学ぶことができる川づくりという方向で取り組みたい。

最近、会津地方の国有林を森林生態系保護地域への指定や奥会津を大型哺乳類のための緑の回廊にしようという動きがあるが、これが決まれば日本一面積の広い森林生態系保護地域、緑の回廊となるわけで環境を重視した方向に全体が動いているような感じがする。 今回の阿武隈川の整備計画もぜひ環境に配慮して検討していただきたい。

阿武隈川のハイドログラフをとりよせて比べてみると、須賀川から本宮ぐらいの本川のハイドログラフの大きな特徴は、どの洪水も流量ピークが高くなり計画高水位近くの堤防ギリギリの洪水が通過しているということが何回も続いてきている。
 堤防がどれだけ安全かということが非常に災害に関係してくるということであり、計画高水を疎通させる能力を確保しておくということも大事な施策だと思われるが、それと同時に堤防がどれくらい安全かということをきちんと評価し、合わせてリスクが低くなるようにいろいろな施策を講じていくべきと感じている。


2.意見交換

阿武隈川の上下流の治水安全度のアンバランスについて、上流部の安全度が低く、下流部が比較的高いという説明だったが、東北地方12の一級河川で全てこうなのかデータがあれば教えて頂きたい。

データの手持ちはないが、現況安全度は上流が低く、下流が高いという状況はどこの河川も大体同じで、阿武隈川の場合、上流須賀川で1/5〜1/10程度、中流で1/30〜1/50程度、下流については1/80〜1/90程度あるが、他の河川はだいたい1/20〜1/50程度の範囲に入っていると思う。
  詳細データは次回改めてご説明したい。

水利用について、阿武隈川はどちらかというと本川利用の比率が非常に小さいと思うが本川と支川を分けた場合どういう値になるのか教えて頂ければありがたい。

支川については、資料がないので、後日報告したい。

河川の管内図の中に市街化区域、都市計画区域の範囲だけ示されているが、用途地域が入った図面はないか。用途地域をそのまま河川地点のところにはりあわせた図面があったらそれで解析をしたい。
 これまでは、高度経済成長期の市街地がとにかく拡散してきたが、本当にこれから拡散していていいのかということも疑問視されている。
 河川に対しては、実は市街地がどんどん拡大して大変な負荷をかけてきており、だから築堤も必要だったということだと思うが、これからの都市のあり方、土地利用のあり方によっては若干肩の荷をおろしてもいいというふうになるかもしれない。

現時点ではないのでつくります。

川の治水というのはいつもいつも最後にしわ寄せ・難題を押し付けられてきたような気がする。 逆に川から街を考えていくと治水も楽になってくるし街もよくなってくると思う。東北から発信していくということは、すばらしいことなのでぜひ検討をしていただけたらと思う。

資料−6の3ページに示されている上流と下流の流量配分図の中に、上流の洪水調節施設で1,200m3/s、岩沼から上流で1,500m3/sとなっているが、現在3つのダムが完成し須賀川上流部では遊水地が完成しつつあるが、今の概成している洪水調節施設でどの程度までこれをまかなっているのか教えていただきたい。

岩沼、福島それぞれ概ね半分程度です。

整備方針と整備計画の大きな違いを教えていただきたい。 整備計画ではどの辺を数値化したり具体化するのかを、米代川の例でも結構なので簡単に説明してほしい。

河川整備基本方針自体は、あくまでも河川とダムのうけもつ流量を規定するものであり、例えば、米代川の二ツ井基準点で基本高水流量9,200m3/sを計画高水流量8,200m3/sにするということが規定されている。
 整備計画では30年の中でどの程度まで整備して行くかということで森吉山ダムを位置づけているし、41ページに整備計画の目標流量があるが、これを達成するために河川のうけもつ掘削や築堤を計画している。
 また、河川の維持管理についても30年の中で行う具体的な内容を計画している。

河川の水質についてBODは非常に重要なファクターであることには違いないが、これから本当の意味で子供たちが健全な水環境として泳げる場を考えたときには、窒素・リンというものは無視できない。
  ここで出した意見が、国土交通省の都市局の下水道部に、例えば下水道の処理に対して1つの提言・見直し案などとして意見が届くようであれば非常にうれしいと思うが、そのような方向についてはいかがなものか。

水質を改善するときには、下水処理場を考えなければならないと思う。
  場合によっては放流水の浄化など施設による改善の考え方も必要かと思う。

米代川の例では46ページの下に直轄管理区間のBODの目標値と水質保全を図るための3項目を示している程度。
  具体的にどこの処理場をどうこうということをこの中に書き込むのは難しいと思う。

河川全体としてBODだけでいいのか。
  これから窒素・リンということも場合によっては大事じゃないかということを下水道部局のほうに意見をあげることが可能かどうか。

河川行政の中では難しいと思う。
  それはまた別の場で言うしかないと思う。

窒素・リンが年間に運ばれる量の半分は1つの大きな洪水で出てくることが観測でわかってきた。洪水の時に出てくる粒子に付着している窒素やリンはポイントではなく面から出てくるようだ。そのような、人がなかなかコントロールできないようなものが洪水の時に出てくるということもあるので、そのコントロールはなかなか難しい。
  下水から出てくる分は処理の仕方で窒素やリンが落ちるようにすることは可能だが、面的に出てくるものは処理が難しい。

窒素・リンは、森林からもかなり出てくるし、肥料ならコントロールできるが、農地から出てくるものは、肥料をまかなくても出てくるので制御する,目標を立てるということは非常に難しい。ただし、意識はしておかなければならないと思う。

平成の大改修の時、河道の拡幅をするために、たくさんあるケヤキの大木を全部切る計画の時、福島県の木でもあるため、なんとか残してもらえないかと検討会の時にお話したが、なかなかうまくいかなかった。環境に配慮する場合、難しい問題がたくさんある。 環境に配慮することについて、具体的にいろいろな計画が示されたら話をしたい。

阿武隈川水系全体で見た場合には、今回の整備計画は国の直轄区間の整備計画となっているが、支川についてもそれぞれ整備計画が検討されており、阿武隈川水系が1枚の図面で全体像がわかるようなものがあってもいい。
  それをあとで地域住民に示すということが今の時代には必要ではないか。

公聴会等で、地元の意見を聞くと、直轄とか県管理とか地元の人は意識しないので、その辺を含めて考えられるような提示のし方の工夫ということを今回に限らずぜひお願いしたい。

以上
国土交通省 東北地方整備局 福島河川国道事務所
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