(2)歩いて 廻れる生活の拠点づくり〜公共公益施設の整備〜

○ 再開発事業による公共公益施設整備
 都市再開発の代表的なものとしては都市再開発法に基づく「市街地再開発事業」がありますが、それ以外にも「優良建築物等整備事業」などの制度を利用した 再開発や、等価交換事業(※注1)、信託事業ビル(※注2)などの任意再開発も「都市再開発」に含まれます。
 山形県上山市の事例では、第一種市街地再開発事業を実施し、地区外へ転出した地権者の保留床を市で買い取り公共公益施設を整備しています。

  ※注1… 土地の所有者が デベロッパー(マンション開発事業者)に土地を提供し、デベロッパーは建ち上がったマンションの内、土地の価値に見合うだけの区分所有建物を土地の所有者 に返すという形で行う開発事業。
  ※注2… 信託銀行が不動産の各種活用を行う事業。 土地信託や、オーナーから管理運営のみを信託される建物管理信託などがある。また、再開発の共同ビルにおいて、地権者が自分達の法人の受託会社を設立し信 託契約を行った例もある。
 
  再開発事業による公共公益施設整備の事例
山形県上山市再開発ビル「カミン」   
  連絡先:上山二日町再開発(株) 023-677-0800
  青森県青森市駅前再開発ビル「AUGA」アウガ
    連絡先:青森駅前再開発ビル株式会社 017-721-8000
 

福島県郡山市駅前西口再開 発ビル「ビッグアイ」

    連絡先:ビッグアイ内市民プラザ 024-922-5544
 
   
○ 区画整理事業による公共公益施設整備
 区画整理事業(土地区画整理事業)とは、道路、公園、水路などの公共施設を整備・改善し、宅地の利用増進を図るため、土地の区画形質を変更するもので す。現在では、中心市街地活性化法の施行に伴い、空洞化の進んだ中心市街地において、街区の再編、低未利用地の集約を行い、公益施設や共同住宅の立地や商 店の集約・再編を促進することによって中心市街地の活性化を図る、都市再生区画整理事業も実施されています。
 岩手県花巻市では、JR花巻駅前の旧国鉄貨物ヤード跡地と周辺市街地を土地区画整理事業により定住交流センター[なはんプラザ]、多目的広場、駐車場、 ホテル、商店街、商業ビルを整備しました。プロジェクト全体の面積は20.4haで、まちづくり総合支援事業を活用して、このほかにも駅から中心市街地に 至る道路を歩行者専用のプロムナードとして整備しています。
 

山形県山形市官民 複合型ビル「霞城セントラル」

    連絡先:山形新都心開発株式会社 023-647-7211
   
○ シビックコア地区整備制度
 旧建設省では、官庁施設の整備や都市整備事業を重点的に実施することにより、地域の特色や創意工夫を生かした街づくりを支援する「シビックコア地区整備 制度」を平成5年3月に創設しました。
 官公庁施設は、地域の人々の安全で豊かな生活を支える、さまざまな行政サービスの拠点的機能を果たしています。また、官公庁施設は地域の中心的な場所に 立地することが多いため、地域の環境づくりの面からも重要な役割を担っています。
 この制度は、官公庁施設の持つこのような役割を街づくりに生かすため、市町村の定める街づくりの基本方針に沿って、官公庁施設や民間建築物を含めたシ ビックコア地区を形成することにより、そこで暮らす人々により便利な行政サービスを提供するとともに、地域の顔となるような新しい魅力とにぎわいに溢れた 地区づくりを推進しようとするものです。
  シビックコア地区整備制度による公共公益施設整備 の事例
⇒岩手県二戸市シビックコア地区整備(東北地方整備局営繕部)・(二戸市
  連絡先:東北地方整備局営繕部、二戸市役所  0195-23-3111
シビックコア地区制度   
  連絡先:北海道開発局営繕部 011-709- 2311
   
○ 中心市街地の交流の場整備
 中心市街地の交流の場として、広場があります。広場で行われる「市」や「フリーマーケット」は賑わいを創出します。これは中心市街地の活性化に寄与し、 また、地域コミュニティの再生にも役立つと考えられます。中心市街地への広場の整備方法としては、パティオと呼ばれる回廊で結ばれた共同店舗と広場の一体 的な整備により集客の相乗効果の発現と地区の賑わいの醸成が図られるほか、商店街に面した歩行者専用道路(モール)などは広場としての役割を果たすことも できます。また、比較的規模の大きい都市においては、中心市街地に多目的に利用できる広場や公園を整備することにより、地域イベント等の交流拠点としてま ちのシンボルになり、魅力と賑わいが創出できます。さらに、これらの広場は災害時の防災広場としても役立ちます。
  中心市街地の交流の場としての広場整備の事例
秋田市広場「サン・パティオ大町」   
  連絡先:秋田商工会議所 018-866- 6674
 

青森県青森市「パサージュ広場」

    連絡先:青森市役所 017-734-1111
商業ベンチャー支援施設について…商工業課(内線3516)
広場の管理・利用について…都市政策課(内線4513)
   
○ 中心市街地の既存ストック利用
 中心市街地に位置する歴史的な建物や廃工場など、既存のストックを活用した施設整備は、新設するよりもコストが少なく、地域に馴染み深い建物の利用に よって、歴史的価値や、まちの顔としての役割が期待できます。
金沢市の事例では、旧紡績工場倉庫を改修して市民の自由創作活動の場をつくり、管理を利用者自身に委ねる「24時間の自主管理方式」を採用しています。利 用料金が定額であり、市内中心部に近いことから、若者を中心とする多くの市民に愛される都市の新しい賑わいの場となっています。
  中心市街地の既存ストック利用の事例
石川県金沢市民 芸術村   
  連絡先:財団法人金沢市文化創造財団 金沢市民芸 術村 076-265-8300