国土交通省 岩手河川国道事務所

1. はじめに

 

 1997年に発生した阪神・淡路大震災を契機に、最近ようやく防災の分野でも危機管理が注目され始めた。我が国では、1990年に始まった雲仙・普賢岳の噴火、さらに2000年の有珠山および三宅島の噴火と火山災害が集中して発生している。このような突発的に発生する災害に対して、被害を最小に抑える為に欠かせないのが「危機管理」の発想である。

 火山噴火による災害は発生時間や規模・現象など前もってその全てを予測することは現段階では不可能であり、予測に基づいた完璧な対策をとることができない。「危機管理」の概念には、一般に次の二通りの考え方があるとされている。1つは「リスクマネージメント」であり、もう一方は「クライシスマネージメント」である。「リスクマネージメント」とは、噴火現象や規模が前もって予測できるなら、事前に噴火現象のシナリオを立て、その対策を事前に実行しておくことであり、もう一方の「クライシスマネージメント」とは、火山活動・被害が発生したとき、その被害の収拾をはかるために、とるべき緊急行動を短時間で判断し実行できるようにしておくことである。火山現象は多種多様であり、すべての災害ケースをあらかじめ予想し、対応策を検討しておくことは困難であり、災害時には組織のトップが、短い判断時間で適切な決断を下すための適時適切な情報収集など、最悪の非常事態に備える臨機応変な対応が求められる。

 したがって、火山砂防における「危機管理」とは、まさにここで謂うところの「クライシスマネージメント」の概念が重要といえる。

 災害に対する演習は、実際に仮設導流堤の建設や緊急避難を行う「実働訓練」と室内において、シナリオに基づいた事態が進展する過程における指揮命令、関係機関の調整、災害対策等を検討する「図上訓練」に分けられる。

 「ロールプレイング方式による火山災害を対象とした危機管理演習」は、火山災害時の情報伝達、判断能力および行動力の向上を図るための「図上訓練」であり、この演習を実施することにより、危機管理の原則であるトップダウンの指示に応えるだけの体制づくりにおける問題点が明らかになり、実災害時の体制作りに資することができる。

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