WATALIS取材報告
平成25年度の国土交通省事業「地域づくり活動に対する中間支援活動のコンテンツ整備のための優良な取組事例調査」で採択された「一般社団法人WATALIS」を取材しました。
今回の事業は、地方部の地域づくり活動に対する中間支援活動を行う団体の優良な取組を募集するものです。具体的には、中間支援活動のうち、
・地域の特性やニーズに的確に対応する地域づくり活動の立ち上げを促す活動
・地域づくり活動の自立・継続に向けた専門家によるきめ細かいアドバイス等を行う活動
について、支援に必要な能力・経験・資源を有するものと連携して活動を行い、そのノウハウや留意点を共有可能なコンテンツとして整備するものです。
事業の取組について
■事業概要
WATALISの事業の名称は「女性を担い手としたふるさとの未来創り〜地域ブランド構築とビジネス化コーディネート事業〜」。「FUGURO」を中心に、手仕事の製作者である女性たちの持つ潜在的能力を引き出し、地域の担い手としての意識と能力の向上を図ることを目的としています。
手仕事の担い手自らが、地域ブランドの構築とビジネス化を行うことで、地域の特性を活かした自立的かつ持続可能なソーシャルビジネスモデルを構築し、地域課題である雇用創出や地域経済の活性化を図り、被災地域の復興を推進することに寄与します。
具体的には、担い手を対象に「学びの機会創り」「地域ブランド創り」「ネットワーク創り」の3つの取組を実施します。連携・協力関係にあるそれぞれの分野の専門家をワークショップに講師として招へいし、商品企画力の向上、協力先をはじめとした専門家とのネットワークの構築・強化、未活用地域資源を活用した手仕事による地域ブランド商品の開発、商品の販売ネットワークの構築・強化等を行います。
 事業の実施フロー |
WATALISについて
■WATALISとは
「WATALIS」という名称は、活動の拠点である宮城県亘理(わたり)町と「お守り」という意味の「TALISMAN」を組み合わせた造語です。
平成24年から任意団体として活動を初め、平成25年4月に一般社団法人へ移行。女性の代表・理事で運営しています。
宮城県亘理町で、地域の女性たちとともに、『目に見えない地域の潜在的資源を目に見える形にし、世の中に伝えていくサービスを、ビジネスとして持続させる』をモットーに着物地などをリメイクする活動を行っています。
■FUGUROについて
「FUGURO」は、コミュニティー復活の願いを賭けた地元の女性たちによる手仕事プロジェクトです。ふるさとに伝わる古きよき習わしや感謝の心をかたちにします。
FUGUROは「ふくろ」のなまった呼び方で、ちょっとしたものを入れるきんちゃく形の袋です。
ここ、亘理町では、何かをもらったら感謝の品を添えてお返しするという世界に誇れる返戻文化がありました。また、もともと蚕業が盛んな地域で、縫製の技術(手仕事)が生活に根ざしているという背景がありました。
そんな中、着古して処分したいけれど愛着があり、簡単に捨てられない着物がたくさん眠っていて、提供してもらえることを知りました。
そこで、手仕事を活かす地元の仕事として、こわした古い着物を「ふくろ=FUGURO」としてリメイクし販売することにチャレンジしたいと思いました。
FUGUROをとおして、古くから伝わる返戻文化の継承と、地元の女性たちの雇用の場の確保をビジネスとして展開していきたいと考えています。
■FUGUROのストーリー
かつて亘理に暮らす人たちは、感謝の気持ちをあらわして、相手になにかを手渡す時には、着物の残り布で仕立てておいた〈袋〉に入れていました。たとえばそれは農家の方がよそへお土産やお返しとして用いた1升の米であったそうです。 特に定まった呼称はなく、今でも「ふくろ」がなまって、ただ「ふぐろ」と呼ばれています。
着物には様々な柄があり、それに対応する意味があります。例えば、菊には薬用の効能があることからその模様は長生き、独楽は回ることからお金が回る、仕事が回るといった具合に。
このすばらしい文化をお客様にきちんと伝えていきたいと思います。
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 代表の橋元さん(左)と引地さん(右)
 丁寧な仕立ての華やかなFUGURO
 着物とレトロなミシン |
今後の展開について
国土交通省の事業で立ち上げたワーキンググループをとおしてブランドコンセプトの確立方法、商品の流通の方法などを専門家の指導のもと学習することができました。生活の中で意識することのなかった商品が手元に届くまでの仕組みを少し垣間見ることができ、世の中はこんなふうに動いているのだな、と実感できました。
今後は、亘理から私たちのことを世界へ発信できたらいいと思います。亘理発の製品を、手にとって見てもらえた時、東北、亘理に視点を向けてもらえる契機になれるのではないかと思います。
着物の生地とか、丁寧な仕事ぶりは、日本人の働き方とか美意識の一つの象徴的なものと思います。
そのことを商品にのせて、手にとってみてもらえれば、やはり日本製はすばらしい、メイドインジャパンはすばらしいと言うことを理解してもらえると信じています。それを東北の亘理から発信できれば、驚きの事例になると思います。これから始めたい人の励みになると思います。
〜東北地方整備局から〜
WATALISは「てしごとプロジェクト〜わたりのふぐろ」を進めるにあたり、国土交通省の事業をはじめとする各方面からの助成に頼るだけではなく、自立を念頭に精力的に様々な活動を展開しています。
持続可能なソーシャルビジネスモデルを標榜し、ばく進中のチームWATALISは、その情熱でもって必ず目的を達成できると考えます。今後の更なる活躍を応援させていただきたいと思います。
白熱した議論 |
厳しい検品 |
新商品の製作にも意欲的 |
店舗でも販売してます |
WATALISのプロフィール
名称

■一般社団法人 WATALIS
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ホームページ

■http://www.watalis.jp/
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住所

■宮城県亘理郡亘理町字中町22
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連絡先

■TEL & FAX 0223-35-7341
E-mail info@watalis.jp
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