「新しい公共」取組み事例

計画活動の改質を契機とした「新しい関係づくり」の構築に向けたモデル事業

団体名

大潟村 西5丁目地区有効活用推進委員会
 

ホームページ

http://www.ogata.or.jp/

所属/ 担当者名

大潟村総務企画課 企画財政班 増永洋
 

連絡先

電話 0185-45-2111
E-mail g-masunaga@ogata.or.jp

活動地域

大潟村字西5丁目
 

 

活動地域の概要

大潟村は、八郎潟干拓により1964年(昭和39年)10月1日に秋田県で69番目の自治体として誕生した。1都1道36県から589名の入植者が家族と共に入植し、現在、世帯数1,076戸、人口3,370人(H21.7月1日)とほぼ横ばいに推移している。基幹産業の農業は、米を主体とした土地利用型農業を行っているが、米価の低迷等による厳しい状況にある。農業経営者の約8割が入植者世代から第二世代に交代し、高齢化も進み(高齢化率24.5%)人口構造に変化をもたらしている。平成19年には、唯一の公共交通であった路線バスが廃止された。

【位置図】

【手つかずの西5丁目地区 面積約16ha】

【重機により慎重に前を確認しながらの除草】

活動地域の課題

西5丁目地区(村有地約16ha)は干拓以来手つかず状態であり、村活性化のために開発が求められていた。交通量の多い幹線道路沿いにあり、近くに干拓博物館、農産物直売所があることなどから、この地区一帯をむらづくりの拠点、玄関口と位置づけ、村内各種グループ相互が連携・融合した多参画な出会いの場として整備し、大潟村の活性化を図り、さらには行政と住民、住民相互、世代間相互の「新しい関係づくり」のあり方の実践活動の場として整備に取り組んだ。また、脆弱化しつつある地域のコミュニティーの再生に向けた取り組みの一環としても推進した。

活動の内容

「結」の精神結集事業
計画や事業の推進に際して民と官の関係づくりを超えて「結」の意義・精神の醸成を図る必要がある。そこで、現在、計画用地である西5丁目地区が芦や草、雑木等で荒地状態にあることを利用し人、組織、行政等のもっている各種資源をもちより村民総参加による「整地」活動を実施する。そして、地域全体の草刈り等の作業は毎年必要なことから、この実施日を大潟村「地域づくりの日」「協働作業の日」としての制定などに結びつけていくことを考える。
「新しい関係づくり」実践事業
西5丁目地区は4つのゾーンに分けて土地利用案が示されている。このうち「癒しと環境学習ゾーン(5.3ha)」はビオトープ造成、植林等による整備を、「フリープラニングゾーン(自己責任の基で自由に計画し、実践できる空間4.2ha)」はモトクロスコース造成、スケートボードパーク整備を自ら手を挙げた個人、団体が中心となりそれぞれ独自に行う。

活動の成果

課題であったビオトープの導水について大潟土地改良区との協議の結果、隣接する用水路からの確保が可能となった。また、他の団体の協力のもとにブナの植林を行った。村内諸団体との関係づくりが成立したケースと言える。
「フリープラニングゾーン」(4.2ha)は、農業後継者である村内青年層が自己責任の基で自由に計画し、実践できる空間として位置づけられているが、その主体として、モトクロスコースの整備及びスケートボードパークの設置を希望する者・グループ(2グループ約40人)が誕生した。この活動は大潟村を越えて隣接する自治体青年層との「新しい関係づくり」の中で進められている特徴を持つものとなった。 これまでの地域づくりが「モノとカネ」から徐々に「コトとヒト」にそのウエイトを高めつつある思潮の“実感”を得たと考える。もの”を作ったという結果よりも、それを「つくる、協働する」という経過、プロセス、その仕掛け作りの重要性の一端を認識するとともに、実感できる経験・体験となったと言える。
平成21年度
・「結」の精神結集事業の継続:荒地状態を人、組織、行政等のもっている各種資源をもちより村民総参加による「整地」活動を実施。1年目より作業が軽くなったことから参加者が増加した。 ・「新しい関係づくり」実践事業の継続:結いの作業(整地活動)を実施しながら、モトクロスコース、スケートボードパーク造りなど自分たちの活動を併せて進め、一部が利用できるまでになった。 ・新たに住民による「大地の家族像」(村在住彫刻家作)を建立する会が組織され、自ら募金活動と作業を行い、西5丁目にブロンズ像を建立した。

 この活動は、住民主体で行っており村広報や参加住民の口コミで住民に周知し推進してきた。これまでの村主導の事業と異なり、西5丁目で何をやっているのか、西5丁目に何ができるのか、こうした問い合わせや活動に対する提案等が住民から寄せられている。
 住民自らが主体的に活動し、行政の協力を得て一つの事業を完成させた例として総事業費400万円余りを募金と自らの労力で完成させた「大地の家族像」建立がある。このことは、行政と住民、住民相互、世代間相互の「新しい関係づくり」の機運が芽生えつつあることの証と言える。

【所有する機械を持ち込みビオトープを造成】

【住民の募金により建立された「大地の家族像」】

今後の課題及び展望

課題
 現在、活動を主導するコアメンバーは限られており、この人的拡がりを如何に作っていくか、改めてその難しさが認識された。しかも、コアメンバーを支える人材の層もまだまだ薄いのが実情であり、仲間づくりの重要性も改めて認識した。
本事業への参画の基調は、提案し参画し、汗をかくことにある。しかし、この様な行動様式を苦手とする住民も多い。この層の地域住民の声を如何に吸収し、形にしていくかは重要な問題と考える。
 行政と住民、住民相互、世代間相互の「新しい関係づくり」という観点から不足する部分に行政がどう対応すべきか、関わるべきかを検討する必要がある。
展望
 西5丁目地区の実践活動を通して目に見える形で変化が示されたことにより、行政と住民、住民相互、世代間相互の「新しい関係づくり」や地域のコミュニティーの再生という点で、多少ではあるが村民に意識が芽生えつつあると思われる。
 将来、大潟村民がそれぞれに「知恵のある人は知恵を、体力のある人は体力を、金のある人は金を。知恵も体力も金もない人は参加し、参加できなかった人は参加したひとから話しを聞き、他の人に伝え、伝えられた人は拍手をし、その活動を称えます」という村の風土を作り上げていければと思う。


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