「新しい公共」取組み事例

農商工連携・動き出す土沢商店街プロジェクト

団体名

農商工連携・動き出す土沢商店街プロジェクト委員会
 

所属/ 担当者名

事務局(土澤まちづくり会社内)/渡邊佳洋
 

連絡先

電話 0198-42-1331
 FAX 0198-43-1201
 E-mail y-watanabe@comet.ocn.ne.jp

活動地域

岩手県花巻市東和町地区
 

活動地域の概要

人口の減少 … H7国勢調査:11,123人 H12国勢調査:10,710人 H19市民登録課調べ:10,144人
高齢化率の増加 … H12国勢調査:25.2% H17国勢調査:32.3
公営バスの見直し(年間利用者数)… H15:約3.6万人 H16約3.3万人 H17:約3.2万人 H18:約2.9万人

東和町および土沢の位置図

東和町における土沢・浮田・田瀬の位置図

町内を走る公営バス

活動地域の課題

 全国の他地域と同様、花巻市東和地区においても地域の担い手が不足し、地域基盤が弱体化している。中でも、中心商店街は「街かど美術館」や「土澤ちょこっと市」等、何とか地域の活力を取り戻そうと活動を続けているものの、来訪者の減少や担い手不足、売上減少といった課題を抜本的には解決できていない。また、長引く景気の低迷により、地域課題解決の糸口が見えておらず、近い将来、限界集落ならぬ「限界商店街」という現象が訪れるのではないかと危機感を感じている。
 一方、周辺農村地域においても、農家の高齢世帯化、若年人口の流動化等による、コミュニティ存続が危機的状況にある。また、農業政策も大きな転換期を向かえ、行政や農協に依存した従来の手法から、それぞれの個性を生かした自立型の農業を模索する取り組みが各地域で見え始めている。かつて、農家と商店は単なる売り買いの関係ではなく、それを超えた密な“つながり”があり、さらにはそれが地域と地域を結ぶ大きな役割を果たしていた。しかしながら社会環境や経済環境の大きな変化に伴い、かつて良かった農家と商店の“つながり”が薄れ、無くなりかけているのが現状である。
 そのような中で、東和地区を運行する市営バスは、高齢者、住民の足として農村部と商店街を結ぶ交通手段としてだけでなく、それらの地域間を結ぶ橋渡し的存在として位置付けられ、住民に長く利用されてきた。しかし平成20年度花巻市公共交通基本計画が制定され、これまでの運行に見直しがかかり、市営バスは朝夕の便のみ、日中の便は予約応答型乗合タクシーに移行する試験運行が実施されている。ただし予約応答型は、週3回という回数制限や、前日予約が必須条件となっており、普段公共交通を唯一生活の足としている高齢者にとって利用しづらい状況となっている。また、高齢者が多く利用する商店街にとっても、死活問題になりかねない。このように、農村部と商店街のつながりを結ぶ役割を果たしてきた公共交通が大きく変わろうとしている今、商店街と農村部の今後の関係性を再び見つめ直す機会が必要となっている。

活動の内容

平成21年度
ア)地域の現況の確認と住民のニーズの把握
・アンケート調査の実施(予定)
イ)農と商のあり方検討
・ワークショップの実施
@農と商の連携について(遠野地域におけるグリーンツーリズムの取り組みから学ぶ)
A商店街のあり方を見つめ直す
B農と商 地域が元気になるコミュニティビジネスの展開法(島根県離島キッチンから学ぶ)
ウ)農と商をつなぐ実験事業
・おしかけ商店街の実施
@浮田地区(2/21)
A田瀬地区(未定)
エ)住民発 農村地域と商店街の将来計画の検討
・住民ならではの交通の検討

活動の成果

平成21年度
(活動の状況、地域内での反響・効果及び周辺への波及効果等について記入)
※2次募集により採択された事業のため事業を開始してからまだ日が浅く、現時点で目に見える成果は上がっていない。
ア)活動状況
@おしかけ商店街の実施に向けた準備会の開催(3回)
Aおしかけ商店街実施に向け実施先関係者との事前打合せ(浮田地区と田瀬地区)
B住民代表との公共交通将来像の(プレ)ヒアリング調査
イ)地域内での反響・効果
・はじめて商店街が農村地域に出向く事業であり、互いに期待感が強い。
・将来の先行きに、前向きなビジョンが見出せない中、当事業をきっかけに“何かやってみよう”という意欲を育てていくことで、さらにステップアップし、地域の活力を向上させることができる。
ウ)周辺への波及効果
・今回、おしかけ商店街を試験実施しない地域においても、農村地域と商店街の結びつきを再構築する事業であって、特に農村地域の注目度が高い。

おしかけ商店街の参加者募集

浮田地区での事前打合せ

田瀬地区での事前打合せ

今後の課題及び展望

課題
・おしかけ商店街の試験実施以前ということもあり、普段人通りの少ない商店街の商店が出向いても、お客さんが来ないのではないかという不安がある。
・(公共)バスの活用法について、法律による縛りがあるため、できることとできないことがある。特区による対応ができないか、関係機関と相談する必要がある。
・バス利用者の声が届きづらい(利用者は生活弱者である高齢者が多い)

展望
・地域の参加状況を見極め、おしかけ商店街の継続実施を検討する
・さらなるステップアップとして、商店街が出向いた際に、農家の物産品(ほうき、わら細工)や加工品(漬物等)を仕入れ、商店街で販売する仕組みを構築できないか検討する
→商店街ならではの産直経営の可能性の模索
・住民発、バス活用方法の提案と試験実施(特区要望など)
・情報発信拠点としての商店街の構築(農村地域におけるコミュニティビジネスの手助け) (町井地区…米粉パン、浮田地区…豆腐、鷹巣堂…味噌、漬物)
・地域の農産物を活用した総菜屋の開店(農家でとれた農産物に付加価値をつけて販売する)


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