第3回 東北の地域と社会資本を考える懇談会議事要旨

 

日時:平成1331910001230
場所:ホテル仙台プラザ3F


第3回「東北の地域と社会資本を考える懇談会」名簿

役職 氏名 現職
座長

森杉 壽芳

東北大学大学院情報科学研究科 教授

委員
(五十音順)







一力 雅彦
稲村  肇
牛尾 陽子
大滝 精一
大堀 英俊
大山 健太郎
岡田 正意
香取  薫
小松 弥生
佐藤  潤
鈴木  浩
本間 利雄
水戸部 浩子

河北新報社 常務取締役編集局長
東北大学大学院情報科学研究科 教授
鞄。崎快適生活研究所 専務取締役所長
東北大学大学院経済学研究科 教授
(社)東北経済連合会 常務理事(欠席)
アイリスオーヤマ梶@代表取締役社長(欠席)
日本銀行仙台支店長
弘前大学人文学部 教授
仙台市教育委員会 教育長
潟zテル佐勘 代表取締役
福島大学行政社会学部 教授(欠席)
本間利雄設計事務所・地域計画研究室 代表取締役
荘内日報社 論説委員

ゲスト
スピーカー
増田寛也 岩手県知事

ゲストスピーカー
▼増田岩手県知事

≪第3回議事要旨≫
第3回テーマ:「東北の地域づくりビジョン」について(岩手県知事との意見交換)
増田岩手県知事をゲストスピーカーとして迎え、県境を越えた広域連携を主体に、長期的・広域的な視点で東北のあり方について議論いただきました。
主な意見は以下のとおりです。



岩手県知事ショートスピーチ】

○県境を越えた広域連携について

  ・北三県の連携15事業を予算化しているが、社会資本(ハード)が少ない。やりやすい分野(ソフト中心)の実績をつくり、
  今後、社会資本につては東北全体を考えて力を入れていく。
   具体的には、平成9年に北東北三県知事サミットを開始している。第一回のテーマとして、各県の利害が少なく急務な
  分野である「観光」について実施。福岡の一等地に三県合同の観光プラザを設置している。(各県単独では非効率的で
  あり、連携することで施設、内容等を充実、メリットが大きい。)
   県単独への観光は少なく、各県周遊タイプのツアーも充実している。(ex仙台空港〜平泉〜十和田湖〜青森空港)
   その他、広域的に取り組みやすい、環境、教育などで実績をつくり、支援するハード(道路等)へと拡大していく。

  ・社会資本整備の広域連携について
  @重要港湾の連携について
   港湾の特性を活かした航路のネットワーク、道路とのネットワーク、港湾間の役割分担についての議論が重要。
  A空港の役割分担について
   高規格道路、新幹線とのネットワークが重要であり、すでにコンデンスした路線となっている。
   仙台空港の役割として、近隣諸国(韓国、東南アジア等)は各県独自の路線でいいが、アメリカ、ヨーロッパについては
  各県単独では難しく、議論が必要である。
  B県境を越えた交流連携を支える道路整備について
   県境の市町村による広域交流連携を形成するため、県境付近の道路整備が必要である。
  C北上川流域における広域連携について
   近年、北上川流域においてNPOを中心に交流連携が活発化しており、河川防災の観点からも積極的に行政が支援
  していく。

〇県、市町村の役割について

  ・県と市町村の役割を考えると、今後地方の中心は住民にもっとも近い市町村であが、財政能力を高めるためにも合併
   を視野に入れた広域行政が重要である。
  ・今後、地方振興局、市町村に権限を移行していく。権限が移行することで、事業の優先度など住民にわかりやすい。
  これから市町村が行財政改革を進め、力を付ける必要がある。
  ・県の役割としては、県レベルの広域連携を行うことで、東北全体の底上げが可能。そのためにも実績をつくることが
  大切である。

○説明責任について

  ・各事後業の長期化是正の観点からも、事業の絞り込みによる集中投資を行うため、新規事業の採択基準を設置し、
  採択、不採択事業を公表している。
  ・不採択の箇所の理由が大切であり、公表することで評点の付け方に対する疑問など直接のリアクションがあり、今後
  これからの精度を上げていく。
  ・また、箇所の絞り込みにより不満が出るが、中期的な道路整備に関するプログラムを示すなど、丹念に説明する事が
  必要。

○救急医療の見地からの道路整備
  ・救急医療の見地から、都市部と中山間地域での時間的な救急サービスに格差がある。
   1分刻みで蘇生率が変化することから、救急医療の観点でのインフラ整備が必要である。

○沿岸地域のリサイクル等へのとりくみ
  ・2004年施行のカーリサイクル法等を視野に入れ、重要港湾を核としたリサイクル事業への取り組みを進めている。
   拠点を港湾の後背地に設け、陸路の集中を図る。

○仙人峠の無散水消雪整備の効果
  ・トヨタ自動車の組立工場(関東自動車工業)のアメリカ向け自動車積み出しやトヨタ車の陸揚げなどの増加が釜石港で
  見込まれており、安全で確実な輸送路の確保が望まれ、冬期間の仙人峠の無散水消雪施設整備を実施。冬期間3ヶ月
  で6千台近くの実績を上げている。

○まとめ
  ・広域連携は相互のメリットが見えることが大切である。また、連携することで県と共に、全体の底上げになる。
  ・競争社会では勝ち負けがあり、自治体は自分の特色(得意分野)を伸ばすことが必要。負け分は他地域との分担が
  必要であり、これにより全体の底上げも図られる。


全体討議】
○ ・新規事業の採択について、国が不採択だと県も不採択なのか。
  ・県単独では難しい面もあり、財政的に可能なら実施していく。
○ ・採択基準でB/Cはメリットがわかりやすいが、社会資本整備には「くらしやすさ」などメリットもいろいろとある。
   国土保全などは、メリットをどこまで範疇に取り込んだらいいのか解らない面もある。説明責任の観点から不透明感が
   あるのではないか。
  ・一般論で議論できず抽象論になってしまうものなど、公表することで議論が深まり、より客観的な意見となるのではない
  か。人間の価値観には、その時代で変化することもあり、評点のあり方にもその時代の尺度がある。
  ・先進国では「人間の命」など、一定の範囲でベネフィットを取りまとめることが可能。

○ ・B/Cで判断すると過疎地域などでは事業が採択されないのでは。
  ・計画論を示すことが大事であり、整備プログラムの提示もその一環である。プログラムも単に費用対効果ばかりでなく、
  毎年チェックしている。

○ ・県、市町村の役割で最終的には県は無くなってもよいのか。
  ・道筋はまだまだであるが、いずれ県の権限縮小し、役割として広域行政に特化する方向を考えている。

○ ・政令市の果たす役割について、以前は周辺との繋がりが強かったが、現在はそれが感じられない。
  ・政令市の権限について、法律毎(省庁間)でばらつきがあり、住民に分かりづらい面もある。また、単独の権限が大きく
  地方自治全体の仕組みのなかでリーダーとしての役割があり、対住民に対し、密着し説明していくことがていくことが
  大切である。

  ・新規事業の選定はどの様にしたのか。
  ・公的なルートの要望をリスト化した。

○ ・広域連携の議論でて不足している観点について
   @環境分野については、産業として位置づけてビジネスチャンスとして考える。廃棄物流通のネットワークをつくべき。
   A産業創出として、物流は重要であるり、配送センターなどの核が必要。その際、市街地整備において流通業務整備
    が流通コストの軽減に必要であり重要となる。フランスのリールは物流と情報が集中していおり、モデルとなる
   B高速道路の雪による閉鎖は問題である。閉鎖により各工場が在庫を残し、無駄が発生する。高速道路の閉鎖を無く
    する努力が必要(コンボ輸送等)
    ・リサイクルは内容でルートが違う。 廃棄物流通とともに個別の議論でやることが大切。

○ ・県の情報ハイウエイは北三県で進んでいる。今後、各県を繋ぐには全体の連携が必要である。その際、国土交通省の
   インフラを利用することが効率的である。
  ・東北には重要港湾が多すぎるのではないか。また、重要港湾としての機能が備わっていない。
   港を全国一律ではなく、違う角度から整備し、地域の特色を出すことが大切。

  ・岩手県に重要港湾は4つあり、特色無く漫然としてきている。また、整備だけで活用方針が明確でない面もある。
  的を絞り重点投資することが必要である。

  ・港湾も取り扱う貨物の種類や国際港湾を補完する中核港湾の役割など、地域、国策からの両方から見てきている。

○ ・北三県福岡プラザは成功しており、東北全体に拡大すべきである。九州は観光を一体となって取り組んでいるが、
   東北では難しいのか。
  ・広域的な取り組みとして、知事会は要望事項の取りまとめであり、踏み込んだトップの話し合いが必要。隣県は繋がり
  が深く、実績を上げることで議論の広が地に着いたモノになる。北三県知事サミットは北海道を含め拡大し、観光の
  取り組をみ始めた。

○ ・国際競争の政策決定の場に住民参加のシステムづくりが必要である。
  ・航路についての情報交換を行い、全体で整理して効率的か検証してみてはどうか。
  ・「脱ダム」の議論があるが、公共事業の蓄積は技術力であり、技術の習得や技術の底上げがある。

○ ・ダム等(公共事業)が必要か不必要かの議論ではなく、景観という観点で公共事業の議論が必要。
   「生き生きとしたくらし」には都市ばかりでなく農村もあり、農村に住んでいる人のことを考えて価値を高めることが大切。
   歴史ある日本がなぜ観光が弱いのか。民族学・生態学的見地から見ていくことも大切である。
  ・集団移転で補償が終わりでなく、「生き生きしたくらし」の実現のため文化・歴史など価値観を考慮することが大切である。
   (集落の持つ共同のくらし、住民の心情など)

   ・「生き生きしたくらし」は国土交通省、地方整備局の柱である。
    歴史・文化のある東北で観光がなぜうまくいかないのかが疑問である。観光は、地域の暮らしと文化を疑似体験(共有)
   できることに魅力ある。東北を知ってもらう意味で入り口を広げ、情報を発信することが必要。
                     
○ ・県境を越えたダム造りはあるのか。ダム造りの経緯を通じてモラル(水の大切さ)をつくる面もある。
  ・県を越えた費用負担のあり方について議論している。
   上流について下流の住民は関心が低い。行政が情報を出して行かないからであり、関心を高める上もダムには重要な
   役割がある。

○ ・東北全体に広域連携を広げていくことが必要であるが、住民全体にはまだ定着していない。
   また、広域連携による大型店の進出や伝統・文化の変化など、日常生活にどう影響していくのか、メリット、デメリットを
  明確にすること踏まえて行政に活かすべきである。

○ ・社会資本整備の遅れという議論はあるが、物事の解決に繋がらない。住民(納税者)に繰り返し説明していくことが大切。
  これからは、限られた資源を必要最小限に使い、最大限効果を発揮することが大切であり、地域との対話が必要。
  また、自県ばかり考えるのではなく東北全体を考慮する必要があり、その中で地方整備局が広域的な立場から独自で
  判断し決定することを期待する。
              


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