海はすべての生き物の源であるといわれています。そして、魚をたくさん食べる私たち日本人の食生活にとっても欠かすことのできない存在です。
 海を育て、私たちの食生活を支えている川の大きな力に注目した石巻専修大学の高崎みつる教授を中心とし、国土交通省東北地方整備局、東北技術事務所、仙台 河川国道事務所、北上川下流河川事務所から川を担当するメンバーが集まってはじめた“海を育てる川の勉強会”が「海の生態系を支える河川システム研究会(旧称:海の生態系を支える河川管理システム開発研究会)」です。平成10年12月18日に発足し、平成14年度までに 10回の研究会を開き、海を育てる川について調査と研究を重ねてきました。
 この研究会は、ゆたかな「海」と私たちの「食生活」のために「川」の専門家が立ち上がるという、ちょっと不思議で、とても画期的な研究会です。ゆたかな海を育む川の力や仕組みを知り、その力が十分に活かされるような新しい川づくりをめざす ものです。


石巻専修大学・高崎研究室
 自然のかおりと季節の彩りあふれる宮城県・石巻専修大学キャンパスの一角に高崎教授の研究室があります。研究室のドアを開くと、そこは高崎みつる教授と学生さんの信頼関係が生み出す明るく暖かい空気で満たされています。高崎研究室の研究は、大学の中にはとどまりません。まず各地の川に自分たちの足で出かけ、自然にふれ、自然に学ぶ心を大切にしながら、健全な水中世界(海や川の環境)の創出、修復をめざすためのさまざまな研究を進めています。


 

◆おもな研究◆
・川から海への物質供給のありかた (望ましい栄養状態とは?)
・川での珪酸など栄養分の挙動
・砂防ダムによる河川物質の変化
・河口干潟による窒素、有機物の浄化と珪酸供給
・人工藻場魚礁の効果 (スギ間伐材の再利用とゆたかな海域生態系の創出)
・河川と湖沼の水質浄化
・閉鎖性水域の水質浄化 など

 
高崎みつる(たかさき みつる/理工学部生物生産工学科 教授)
Profile 〜プロフィール〜
東北大学大学院工学研究科修了。東北大学工学部助手、環境庁国立公害研究所(現:環境研究所)共同研究員、アメリカ・モンタナ州立大学客員教授、石巻専修大学助教授を経て同大理工学部生物生産工学科教授へ。専門分野は上下水道学、水質環境工学、衛生工学など。
近年は閉鎖性汚濁海域の浄化や、海の健全な生態系修復に向けた珪酸供給に関する研究を行う。また、浚渫ヘドロの有効利用技術と海の生態系回復技術の融合やスギ間伐材を活用した人工木製魚礁に関する研究を継続中。