川と海の勉強室3
栄養塩

 花壇で花を育てたり、畑で作物を育てる時には、大きく丈夫に育つように、肥料をまきます。海の中の植物、植物プランクトンも増えるためには肥料が必要です。陸の植物にあげる肥料には窒素(ちっそ)、リン、カリウムという栄養物質がたくさん入っています。植物プランクトンに必要な栄養物質として窒素リンが大切です。植物プランクトンにはたくさんの種類がいますが、珪藻類(けいそうるい)と鞭毛藻類(べんもうそうるい)は量も多く、大切です(川と海の勉強室2を見てください)が、珪藻類は窒素リンの他に珪素(けいそ)が必要です。
陸はチッソ、リン、カリ、海はチッソ、リン、ケイソと覚えて下さい。
原子記号を知っている人は N(チッソ)、P(リン)、Si(ケイソ)
水の中ではこれらの栄養物質が他の物質(酸素や水素)と組み合わさって、塩のように水に溶けています。これらを総称して栄養塩といいます。
海の植物プランクトンにはだれが肥料をあげているの?
 花壇や畑の花や作物には家の人や農家の人たちが肥料をあげて、りっぱな花や野菜を育てます。海の植物(海藻やプランクトン)には、川がたくさんの肥料をあげています。川の水には栄養塩がたくさん溶けていて、この栄養塩が海で海藻や植物プランクトンを育てているのです。
 雨が降ると、雨水は栄養をたくさん含んだ野山をくぐり、たくさんの栄養塩をかかえて、やがて川にたどりつきます。また、川の中でも、岩や砂を少しづつ溶かしこみながら海にはいります。これが、海、特に、皆さんの近くの海(沿岸えんがん)の生物を育てているのです。

栄養塩の産みの親は?
 昔、野山の植物が枯れて分解したものや動物の糞などに含まれていたチッソやリンが川の水に入ってきました。でも、今は人間がたくさん出しています。台所からでる排水もそうです。食品加工工場などからも、畑にまいた肥料からもたくさん入ってきます。植物プランクトンにとってみると、食べ過ぎのようです。このように栄養塩がたくさん入りすぎた海では、植物プランクトンが増えすぎ、海の色が茶かっしょく色や赤色になることがあり、これを赤潮といい、魚が死んだり、弱ったりすることがあります。
 もうひとつ残った栄養塩ケイソは植物や動物の糞にはあまり含まれていません。また、人間が出す汚れた水の中にもあまり含まれていません。それでは、どこからくるのでしょうか?。ケイソの産みの親は誰でしょうか?
ヒント⇒答えはこのホームページの中にあります。
川に栄養が集まるしくみ
川が栄養をつくるしくみ

たくさん食べているのに栄養失調?
 小さな頃、「好き嫌い言わずに何でも食べなさい」と怒られたことはありませんか。そんな時、たくさん食べているのにと思いませんでしたか。最近、たくさん食べて元気そうな人が栄養失調と診断されることが多いそうです。これは、必要とする栄養素(必須栄養素)の何かが欠けているためと言われています。海の健康もそうです。チッソやリンだけが多すぎる海は栄養失調の海です。元気な海になるためには、栄養バランスのことも考えていくことが大切だと思います。