仙台湾南部海岸の概要
 仙台湾南部海岸は、仙台市から福島県境まで約50kmに及ぶ長大砂浜海岸ですが、近年、海岸侵食が急激に進行し、堤防が倒壊するなどの大きな災害が発生しています。
 当海岸は背後に仙台都市圏をかかえるとともに、JR常磐線、国道6号、仙台空港があり、交通輸送上も重要な地域です。
 このため、砂浜の保全・創出を主体とした抜本的な侵食対策を実施するべく、平成12年度から仙台湾南部海岸のうち、特に侵食が著しい岩沼市蒲崎地区及び山元町中浜、笠野地区を直轄事業として着手します。

仙台湾南部海岸の侵食対策

 当海岸では、昭和60年頃から急激に砂浜が侵食され、福島県境に近い山元地区では砂浜が消滅し、海岸堤防が倒壊するなどの被害が発生しています。これらは、海岸部への供給土砂量の減少や港湾施設等の整備により、砂の流出と供給のバランスがくずれたことによるものと見られています。
 当海岸の保全施設整備は、これまで宮城県により海岸堤防が整備され、平成7年度からは沿岸漂砂の制御を目的としたヘッドランド整備が行われています。
 一方、平成12年4月から改正海岸法が施行され環境と利用が法の目的に追加明記されました。
 仙台湾南部海岸では、極力構造物に依らない工法で長大砂浜の保全・創出を図ることを目指し、箇所により必要以上に堆積している砂の利活用など、侵食域への砂の供給方法と流出を防ぐための最小限の構造物について検討し、保全事業を展開していきます。


浸食により消波工が沈下し、
堤防が被災した状況(平成3年)

ヘッドランドの施工事例

侵食対策を実施しない場合 侵食対策(※1※2) を実施した場合
砂浜が侵食消波工は波の直撃を受けて沈んでいき、やがて堤防にも被害が及ぶ恐れがある。 養浜により海底勾配が緩くなる。
波はヘッドランドにより形成されたポケットビーチにより分散されて小さくなる。

※1ヘッドランド(人工岬)
平坦な、海岸線の比較的長い侵食海岸に、大規模な突堤等を長大なスパンで設置し、波浪エネルギーを分散させ、海浜の安定化を図るもの。
※2養浜
海岸線に沿ったある区域に、砂を補給又は新たに投入し、人工的に砂浜を形成させること
青森海岸の概要(平成12年度 県へ引継ぎ)

 青森海岸は、津軽半島を背に陸奥湾に面し、過去において激しいところでは年に5m程度の侵食を受けてきたといわれ、古くから種々の侵食防止対策が試みられてきましたが、施設が貧弱なため災害があとを絶たない状況にありました。
 このため、昭和37年度に19.115kmが直轄工事区域に指定され、直轄事業に着手しました。その後数度にわたり区域の見直しが行われ、直轄事業完了時は青森市西田沢地先から平舘村根岸地先までの28.423kmとなっていました。(平成13年度10.950km完了、平成14年度17.473km完了)
 海岸線には、国道280号及びJR津軽海峡線が走り、家屋は国道の両側に連なっています。蟹田町を境にして、南側は比較的広い耕地を持ち、集落が国道と鉄道に沿って密集しています。一方北側は、海岸線に山が迫り、狭い土地に人家が点在しています。
 これらに生活する人々は、沿岸漁業への生計の依存が極めて高いところです。特にホタテ貝の養殖が盛んとなっており、青森県の重要な産業となっています。
 このため、海岸の保全と利用の要請に対応した、侵食・越波対策事業を実施しました。

対策事業の事例【人工リーフ】
波の打上高が高く、現況の堤防では高さが足りない所は、人工リーフと呼ばれる構造物で波の高さを低く抑えます。人工リーフは離岸堤と異なり、海中に築造されるため、景観上もすぐれた構造物です。




 
【緩傾斜堤】
波浪による打ち上げ高が現況堤防を越え、また、現況堤防が老朽化している箇所については、堤防を腹付けする方式の緩傾斜堤を整備しました。
これにより堤防の補強と越波防止を図ることができるとともに、傾斜が緩い階段構造とすることにより、水辺へのアクセスや利便性の向上を図っています。
 

緩傾斜堤による打ち上げ高低減効果