海岸保全に関するその他の重要事項

広域的、総合的な視点から取り組みます。
海岸整備に際しては、整備対象となる海岸だけでなく、より広い視点から取り組んでいきます。
●災害に対する安全の確保
関連する背後地域を一体的に防護する必要があります。このため、海岸だけでなく沿岸部における関連する施設との防護水準の整合の確保など、関係機関と連携して一体的、計画的な施設整備をすすめていきます。
●海岸侵食への対応
海岸侵食は土砂の供給と流出のバランスが崩れることによって発生します。この問題に抜本的に対応していくために、海岸地形の長期的な観察、海岸に運ばれてくる土砂量の調整をするための構造物の工夫や土砂管理対策などを、関係機関との連携のもとに進めます。

地域との連携の促進と海岸愛護の啓発
海岸の保全を適切かつ効果的に進めていくためには、地域の意向に十分配慮し、連携を図っていくことが必要です。
●災害に強い地域づくりの推進
海岸保全設備の整備と併せ、関係機関と連携して防災情報の提供や災害時の対応方法の周知など、地域住民のみなさまの防災意識の向上と防災知識の普及を図ります。
●海岸の美化
海岸のゴミ対策や清掃など海岸の美化については、地域住民のみなさまやボランティアなどの協力を得ながら進めるとともに、参加しやすい仕組みづくりに努めます。また、ゴミ投棄や無秩序な海岸利用によって環境の悪化が進まないように、モラルの向上のための啓発活動にも努めます。
●正しい利用の促進
海岸を正しく利用するために、「海岸は海への入り口であり時には人命を損なう危険な場所」であるという認識に立って、それぞれの地域の特性に応じた海岸利用のルールづくりを推進し、安全で正しい利用に必要な情報を提供していきます。
●海岸愛護の啓発
さまざまな事柄に関して地域住民のみなさまとの連携を緊密にしていくために、海岸愛護の思想の普及を図るとともに、環境教育の充実にも努め、地域における海岸愛護活動が推進されるような人材を育成していきます。

調査・研究の推進
質の高い安全な海岸の実現に向け、効率的な海岸管理を進めていくため、海岸に関する基礎情報を収集・整理し、効果的な防災対策、海岸侵食、生態系、新技術などに関する調査・研究開発を行っていきます。また、民間を含めた幅広い分野と情報の共有を図りつつ、お互いの技術的な連携を進め、国際的な技術交流を図ります。
さらに、地球温暖化に伴う気象・海象の変化や長期的な海水面の上昇が懸念されており、これらによって海岸の侵食が進行したり、ゼロメートル地帯の増加や高潮被害の激化など深刻な影響が起きる可能性があります。このため、潮位や波浪の監視を行うとともに、それらの変化に対応するための必要事項の検討も進めていきます。