地域のみなさまの意見を反映した海岸づくり

海岸法の大きな目的である「防護」「環境」「利用」の三項目が調和した海岸を目指すためには、国からの一方的な計画だけでは実現できません。総合的な管理が正しく行われるために、まず国が海岸の保全に関する基本的な方向性を明らかにするため、その共通の理念となる「海岸保全基本方針」を定めることとし、さらにこれに基づき都道府県知事が「海岸保全基本計画」を定めます。この海岸保全基本計画の決定の段階で公聴会などを開催し、地元住民のみなさまのご意見を伺いながら計画案を決定していきます。
海岸保全の計画制度は以下のように進められます。

海岸保全基本計画において定めるべき基本的な事項
●海岸の保全を図っていくに当たっての基本的な事項
海岸の現況及び保全の方向に関する事項
自然的特性や社会的特性等を踏まえ、沿岸の長期的な在り方を定めます。
海岸の防護に関する事項
防護すべき地域、防護水準等の海岸の防護の目標及びこれを達成するために実施しようとする施策の内容を定めます。
海岸環境の整備及び保全に関する事項
海岸環境を整備し、及び保全するために実施しようとする施策の内容を定めます。
海岸における公衆の適正な利用に関する事項
海岸における公衆の適正な利用を促進するために実施しようとする施策の内容を定めます。
●海岸保全施設の整備に関する基本的な事項
沿岸の各地域ごとの海岸において海岸保全施設を整備していくに当たっての基本的な事項として定めるものは次の項目とします。
海岸保全施設を整備しようとする区域
一連の海岸保全施設を整備しようとする区域を原則として定めます。
海岸保全施設の種類、規模及び配置等
イの区域ごとに海岸保全施設の種類、規模及び配置等について定めます。
海岸保全施設による受益の地域及びその状況
海岸保全施設の整備によって津波、高潮等による災害や海岸侵食から防護される地域及びその地域の土地利用の状況等を示します。
海岸保全基本計画において留意すべき重要事項
海岸保全基本計画を作成するに当たって留意すべき重要事項は次のとおりです。
●関連計画との整合性の確保
国土の利用、開発及び保全に関する計画、環境保全に関する計画、地域計画等関連する計画との整合性を確保します。
●関係行政機関との連携調整
海岸に関する行政機関と十分な連携と緊密な調整を図ります。
●地域住民の参画と情報公開
計画の策定段階で必要に応じ開催される公聴会等だけでなく、計画が実効的かつ効率的に執行できるよう、実施段階においても適宜地域住民の参画を得ていきます。また、計画の策定段階から、計画の実現によりもたらされる防護、環境及び利用に関する状況について、必要に応じ示す等、事業の透明性の向上を図るため、海岸に関する情報を広く公開します。
●計画の見直し
地域の状況変化や社会経済状況の変化等に応じ、計画の基本的事項及び海岸保全施設の整備内容等を点検し、適宜見直しを行います。