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はじめに 
「人間同士は出会った時が正月だ」とは作家・山本周五郎の言葉です。
地球の人口がとうとう70億人を超えた今だからこそ、身に染みてくる言葉ではないでしょうか。
今回も上北道路の現場リポートということで、新たな出会い、体験ができることを期待しつつ、
工事現場の方に行ってきましたので、報告させていただきます。

  東北町大字大浦字大沢地区の沢を道路が横断するための鉄の橋桁を製作して、架ける工事です。
 スケールの大きさに筆者もびっくり!(橋桁をクレーンで吊り上げています)

私がなるほどと関心したのは、橋の組立過程。今回の工事は、上下線分離の橋梁になるとのこと。
実はここで匠の業が出てくるわけです。
何と、片方の橋を製作しながら、それを足場にしてクレーン車でもう片方の橋を造っているのです。
こういった大規模な工事は、「いかにコストを抑え効率よく造るか」ということが重要とのことでした。
 
上下線を平行して製作しています。(左側が上り線。
つまり、上り線側が下り線側を造る足場となっているのです)
 こちらが下り線

 どんなところに気をつけてますか?
 重さ20トンの橋桁をクレーンで吊り上げるので、風には注意を払っています。
    また、クレーン作業の作業計画を立てながら、綿密に作業をしています。
100トン級のクレーンを使用しての作業 注意喚起を促す看板
   
 この橋桁はどこから持ってきたんですか?
 北海道から持ってきました。苫小牧から八戸までフェリーで運び、そこからトレーラーで運搬してきました。
   
はるばる北海道からお越しになりました。(道産子です) ご覧のとおり、運ぶのも一苦労。 
  実はこの橋桁、現場代理人さんとは初対面じゃないんです。
どういう意味でしょうか?
北海道の工場で製作する際に、仮組みを行っているとのこと。
コストが掛かる運搬のため、そういったシュミレーションを必ず行っているそうです。
(現場で寸法が違っていたら、大変ですもんね)   


 何の測量をしているんですか?
 あれはトランシットという測量器械で、橋桁の位置(XY座標)を確認しているんです。
    一回一回チェックしていかないと、だんだん橋桁が曲がっていくんですよ。
   
 橋桁が設計されたとおりの位置に設置されているか測量器械で確認。  レバーブロックという工具で橋桁を固定。
   
  これは何ですか?
  これは高力ボルトと言います。橋桁同士を止めるネジです。
   
 かなりデカイです。  高力ボルトの仮締め付け作業中
      実はこの高力ボルト、必要な締め付け力がかかると先端部分(ピンテール)が取れるとのこと。それは「しっかり締まっていますよ」との合図だそうです。
逆に言うと、この先端部分が残っていると言うことは「締め付けが甘い」ということになります。安全対策も一目で分かるようになっているのがスゴイですよね。
恐るべし、ハイテク技術。 


 何カ所か高力ボルトで止めていない箇所がありますが、あれは何ですか?
  高力ボルトで止める前に、ボルトの穴の位置を調整するときに鉄のピンを差し込みます
   (鉄のピンを差し込む穴のことをパイロットホールと呼ぶ)。
   橋桁の設置位置・高さ等が設計どおりになったら、最終的に全て高力ボルトで締め付けます。
   
 このパイロットホールが重要!  これぞ職人業という知識でした。
   
  この仕事をしていて、一番の楽しみは何ですか?
  30年以上この仕事をしていますが、自分が携わった工事の場所を通る時が一番、楽しいですね。
    形として残りますからね。

(株)楢崎製作所さんには、お忙しい中、私の突撃取材に真摯に対応していただきました。
                                           本当にありがとうございました。

今回の取材で感じたことは2つ。
一つは職人さんの「技術」。
こんな大規模な工事だからこそ、実際にはきめ細やかな作業が重要なんだなと改めて感じました。
もう一つは職人さんの「手」。
現場代理人さんに、高力ボルトの話を聞いたとき、自ら手に取って、私に分かりやすいように説明してくれました。
その教えてくれた手は、ものすごくごっつい、油などで汚れた、大きく立派な手でした。
そんな大きく立派な手に比べて、自分の手は何と貧相なことか・・・。
私は大変、恥ずかしい思いになりました。
「そういえば、うちのばっちゃ(津軽弁でおばあちゃん)の手もあんな手だったなあ」と思い出しました。
若い頃から、行商に歩いて5人の子供を育てた手は、現場代理人さんと同じく、立派な手だったとしみじみ・・・。

 「いい人に出会えた」そう思った今回の取材でした。

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