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はじめに 
 「国土交通省ってどんな仕事をされているんですか?」との問いに、事務系を担当している私としましては、
「道路や河川の管理、バイパス工事等を行っている」とある程度の説明はできます。
ただ、あくまでもその程度。工事の技術的部分はまったくの素人です。
事務系の仕事をしていれば現場に行くことはまずなく、契約台帳や支払関係の書類でしかお付き合いはありません。
そこで、私が暇にかこつけて(???そんな事は無いですが・・・(^_^;))、当出張所管内工事の突撃現場リポートを行い、
工事現場の皆さんの日頃の工夫や苦労、この工事に対する思い入れなどを取材し、
現場の声を、ど素人である私の感じたことを通して
皆さんに面白おかしく、真面目にお伝えできればなと思います。 
 
全景写真。一言で表現するならば「ダイナミック(!?)」。

 三戸町川守田地区の法面(のりめん)の補修工事です。
川守田地区のモルタル吹付け法面は、昭和53年(1978)に開通した三戸バイパスの区間内にあり、
当時、山を切り開いた岩盤の斜面が、雨風で風化し崩れてこないようにモルタルで表面を覆ったものです。
ちなみに、岩盤でない土の法面は植物の種をまいて草木で表面を覆っています。
今回の工事は、完成後30年以上経過した、モルタル吹付けの法面が劣化し亀裂が多くなってきたことから補修するものです。

●素人でも解るモルタル吹き付け作業●
 圧縮空気を使った吹付け機によりモルタル(セメント+砂+水)を法面に高圧で吹き付ける工法で、多少の凹凸があっても施工可能という特徴を持ちます。施工する際には、あらかじめ法面を整形し、モルタルの付着を良くするために金網(ラス)を張った上に10p程度の厚さで吹き付けます。
 施工される場所は、本来は岩盤法面の風化進行の防止が目的でしたが、最近ではレキの法面でも施工されるようになり、適用範囲を広げています。
 
モルタル吹き付け作業の様子
(命綱にぶらさがりながらの作業) 
 
   
 てっぺんまでの高さは直高で約20m(およそビルの6〜7階に相当)にもなるそうです。(転落すれば大事故になります) 
   

 どんなところに気をつけてますか?
 やはり高所での作業ですので、安全対策には気を使いますね。命綱、安全帯は毎朝、全員で点検確認をしています。
   
ロッククライミングのような感じで上まで登ります  「この安全ストッパーが私たちの命を守っています」(関係者:談) 
 
 施工してみての苦労は?
 湧き水対策ですね。湧き水があると、モルタルが吹き付けれないので防水処理に苦労しています。 
 
 青いビニールシートで覆われているところが湧き水が染み出している所 
   
 現道沿いの工事なので苦労はしませんか? 
 国道4号という交通の大動脈のそばで工事をしているため、大変に気を遣います。
   強固な防護柵を使って、通行車両や歩行者の安全を確保しています。
   あとは、工事の性質上、現地でコンクリートを生成しなければならず、
   手狭なので大きい機械を入れれないので苦労しますね。 
   
パネル式防護柵  現地でコンクリートを生成(確かに狭かったです:筆者)   

 なぜ上から吹き付け作業をしているんですか?
 下から吹き付け作業をすると、単純に(上に行くに従い)作業員の足跡がついてしまうためです。

(う〜ん、バカなことを聞いてしまった。そういえば、小学生の時、教室のワックス掛けをしていて、
廊下側から作業をして、教室の隅っこに行ってから出られなくなるのに気付いたことがあったな)

さいごに
 田中建設(株)さんには、お忙しい中、私の突撃取材に真摯に対応していただきました。
今回、私が感じたことは、「公共工事のスケールの大きさ」、「現場の過酷さ」、
そして矛盾しているかもしれませんが「ものをつくることの楽しさ」です。
施工している工事現場の皆さんも「ものづくり」に誇りを感じて、この世界にやってきているわけで、
「国などの公共の事業に関わるのに誇りを持っている」と語っていました。
現場の方と話をしてみて、そういった部分の「愛」を感じました。
マット・デイモンが映画で言ったセリフで「君の言っていることは、全部本に書いてある」というのがあります。
私はこの言葉が大好きです。(それぞれ、捉えようがあるでしょうが・・・)
本で学べるものは本を読めばいいわけで、それは他人にとっても同じなわけです。
誰かに教えるのであれば、自分がそれで何を感じたかを伝えなければならないのかなと。
「feel(感じろ!)」(ブルース・リー)、ど素人現場リポーターとして、その点に気をつけて、
皆さんに当出張所管内の工事を紹介できればと思います。

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