近づくまち、ひろがる交流 八戸・久慈自動車道
〜八戸工業大学生の現場見学会〜
 青森河川国道事務所では、12月12日(金)に八戸工業大学 工学部 環境建設工学科1年生30名を招き、改良工事の進む八戸南道路と、新井田川に架かる橋梁工事が進む八戸南環状道路の現場見学会を行いました。
八戸南道路 編
位置図 まずは、切土・盛土工事の進む八戸南道路の現場にやってまいりました。
 八戸南道路は、左図の赤破線の部分を用地買収や埋蔵文化財調査を行いながら、工事を進めています。

平葭監督官

 今回、現場を案内してくれたのは、平葭(たいよし)建設監督官です。この現場では、切土した土を改良しながら盛土に転用しています。

学生

 真剣な面持ちで説明に聞き入る学生たちです。まだ、一般教養段階であり、これから本格的に土木を学ぶとのこと。今回の見学会が良いきっかけになることを期待します。

盛土の様子

 現場の様子はこのようになっています。盛土工事なのでそれほど珍しい機械は動いていないのですが、なんといってもこの現場の特徴は八戸ロームです。

土砂の違い
 八戸ロームは含水比が高く、そのままでは盛土材として適さないことから、生石灰を混ぜ、含水比を低下させる改良をしているのです。
 少しわかりづらいですが、手前から、表土(黒ボク)、砂質土、粘性土(八戸ローム)、生石灰、改良土の順に並んでいます。

改良前後

 改良前後では、こんなにも質感が変わってしまうんですね(写真にマウスを重ねてみよう)。
 また、八戸ローム層の名づけの親は、八戸工業大学の先生なのだそうです。

改良機械 改良しなければならない土砂は大量にあるため、機械で混合しているのです。
 右側に土砂を入れ、真ん中部分に生石灰を投入し機械を動かすと、左側のベルトコンベアから改良された土砂が出てくるのです。この機械は工事現場内であれば自走が可能なので、現場の状況に合わせて改良場所を移動することができるのです。

位置図

 続いて場所を変え、南環状道路をまたぐ跨道橋の工事現場にやってまいりました。

現場代理人  工事の具体については、現場代理人から説明をしてもらいました。
 ここの橋梁はPC(プレストレストコンクリート)中空床版桁というものを選定しています。簡単に言ってしまうと、橋桁を軽くするために空洞をつくり、コンクリートの弱点である引張力に抵抗するためにピアノ線で締め付ける工法です。

下部工

 現場は既に下部工が出来上がり、これから上部工のコンクリートを打設(だせつ)するための、支えを組み立てる準備をしているところでした。

上部工断面図  上部工の断面はこのようになっております。
 コンクリート打設前に、白い円のところに円筒型枠を設置することで、その中が空洞になるのです。
 そして、コンクリート硬化後に、コンクリート部に埋め込んだシースと呼ばれる管の中を、太いピアノ線で橋の軸方向に圧縮力を加えるのです。

学生


 ここでも真剣に話を聞いております。図面と現場との比較でイメージがつかめたでしょうか?

跨道橋

 出来上がった下部工を、南道路の直角方向から見てみると、このような感じになります。交差道路はこの上を走ることになるのですね。

八工大OB

 最後に、施工会社の八工大OBの方から、後輩たちへ温かいメッセージがありました。

 以上が八戸南道路の見学会の様子でした。
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八戸南環状道路 編
位置図
 引き続き、八戸南環状道路の現場にやってまいりました。ここでは、新井田川に架かる橋梁工事を進めています。

現場代理人 この現場でも、工事の詳細は現場代理人に説明してもらいました。この橋は、3径間連続複合ラーメン橋という形式で、上下部が剛結されているため、経済的で地震にも強いのです。また、桁の本数も少なく、耐候性鋼材を採用しているので、塗装の塗り替えの必要が無いため、より経済的になっているのです。

仁井田川橋
 現場は、桁を架け終わり、床版と呼ばれるコンクリートの部分の打設準備をしているところでした。
 写真にカーソルをあてると模型が出ますが、茶色の部分が桁で、その上のねずみ色部分が床版になります。

工事用桟橋

 橋の隣にはこの橋梁の下部工工事のときから活躍している桟橋がかかっています。ここから、コンクリートを打設したり、桁を架けたりしたんですね。

学生

 この桟橋は、工事だけではなく、今回のような現場見学会でも活躍します。
 学生たちも、模型を前に橋の間近から見学ができます。

 この後、同じ路線の是川トンネル計画場所も見学したそうです。
 以上が、八戸南環状道路の現場でした。
 監督官のHPはこちらから
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 当日は、晴れてはいたものの寒〜い一日でした。1年生とのことでしたが、工業系の高校を出た方、そうでない方、様々いることと思います。授業だけではなく、生の現場を見ることはこれからのやる気につながっていくことと思います。
 青森河川国道事務所では、他にも多数の見学箇所を用意して、一般の方々からも広く現場見学を募集しています。
<まめ知識>
 八戸・久慈自動車道は八戸市を起点に、階上町や岩手県種市町を経由し、岩手県沿岸北部の中心都市である久慈市までの延長約50kmの一般国道45号の自動車専用道路です。これまで、終点部の久慈道路が平成5年12月に供用し、現在は起点側の八戸南環状道路と、八戸南道路の整備を進めています。
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