平成17年2月28日
〜秋田・再発見から北海道・東北への提言〜
菅江真澄の足跡を活かした地域活性化に関する検討会より
はじめに
 成熟社会を迎えて旅に対してもその価値観が多様化する中、江戸時代後期の紀行家菅江真澄の足跡を活かした秋田再発見の新たな取り組みが動き出しています。
 菅江真澄は三河国(今の愛知県)に生まれ、30歳の頃三河を出て北海道・東北各地を巡った後、秋田に戻り、亡くなるまでの約29年間秋田で過ごしています。秋田を愛した真澄は秋田各地を回り、日記、地誌、写生帳、随筆など膨大な図絵や著作を残しており、これらは歴史や文化を知る価値のある貴重な記録となっています。このような真澄の業績、足跡を顕彰するため、秋田県内ほぼ全域に「菅江真澄の道」と名付けられた標柱・説明板や歌碑・記念碑などが約450箇所建立されています。また、秋田県立博物館では「菅江真澄資料センター」が設置され、真澄に関する資料を展示、紹介しています。一方、全国的規模の「菅江真澄研究会」が立ち上り、真澄の研究にとどまらず、講演、足跡巡りなど多岐にわたる活動が行われています。
 昨今、松尾芭蕉の「奥の細道」旅や関西の「歴史街道プロジェクト」などに代表されるように、歴史や文化、風土、史跡などのいにしえの心象に深く触れ、知的好奇心を満たす観光は、新しい道歩きの楽しみ方である「ツイン・タイム・トラベル」(京都大学大学院の金坂清則教授が提唱、として、近年日本でも脚光を浴びてきております。米国などでは、早くから歴史や文化、自然に関する国民の知的好奇心に応えるような観光サービスに取り組み、「ビジターセンター(情報収集地点)」の整備や「ボランティア支援」によるソフトサービスなど、有名な国立公園サービスは世界規模で多くの観光客に評価されています。
 本検討会設立の目的は、地域情報の発信拠点として年々賑わいを見せる「道の駅」や「高速道路のサービスエリア」などを有効に活用し、県内外(主に仙台・関東)の観光客を念頭に、菅江真澄の足跡や、秋田の歴史や文化、自然など素晴らしい観光資源に関する情報発信を行い、知的好奇心をかき立てる観光振興を通して地域活性化を図ろうとするものです。検討会では、道の駅「てんのう」と男鹿半島をモデル実施箇所として社会実験を行いました。その結果、菅江真澄に関する知名度は低いものの、足跡巡りなどの関心度、今回の社会実験のような取り組みへの期待が高いことや、実際に菅江真澄の足跡を訪ねる時の案内や現地の受け入れ態勢などの諸課題が明らかになりました。
 本提言は、これらの成果を踏まえ、関係機関が共通認識を築き、秋田県下、さらには北海道・東北各地へ菅江真澄の足跡を活かした観光振興を展開するための具体的な事項をとりまとめたものです。今後の展開にあたっては、関係機関が相互に連携を図りつつ、この提言の趣旨を鑑み「菅江真澄の足跡を歴史的観光素材として活用する新たな観光振興」による地域活性化の取り組みを推進されることを期待します。
平成17年2月28日
菅江真澄の足跡を活かした地域活性化に関する検討会
座   長   折田 仁典
 
菅江真澄の足跡と秋田再発見プロジェクト