1-2-2 利水の現状と課題
(1) 利水の現状
 
1) 河川の現状
 3月下旬から4月末にかけての融雪期は、奥羽山脈、出羽丘陵などからの雪解け水が村山圏域の各支川を潤し、年間を通じて最も流量の豊富な期間となっている。
 4月末からは各地で農業用水の取水が行われるようになり、また、雨の少ない盆地特有の気候も影響して、流量は次第に少なくなる。
 7月から8月にかけては、集中的な降雨により一時的に流量が増加するが、全般的には少なく、年間を通じて最も流況の悪化する期間となる。
 9月に入ると農業用水の取水が終わり、秋雨前線などの影響による降雨で、流況は次第に回復する。  降雪期に入ると11月下旬から翌年3月までは安定し、この間に流域の各山系に蓄えられた雪が、春の訪れとともに各河川を潤す。
  2) 水利用の現状
 現在の村山圏域における利水の現況を、表3に示す。これによると、かんがい用水、発電用水が水利用のほとんどを占めていることがわかる。
 現在水道の水源は、表流水や地下水に加え、村山広域水道用水として国土交通省の寒河江ダムから供給を受けているものの、近年、市街地への人口集中が進み、その周辺部においても住宅地の開発が進展し、生活用水が大きく伸びるものと予想される。
 村山圏域の水需要は農業用水・消雪用水・水産用水の減少により、全体として若干減少する見通しである。しかし、天童市においては、近年の住宅開発の進展により、生活用水の増加が予想されているため、新たな水源の確保が必要となっている。
 消雪用水については、各圏域ともに地下水に依存している部分が多い。将来的にも消雪用水の増加が見込まれており、地下水位の低下や地盤沈下への影響が懸念される。また、河川水の消雪用水としての有効利用を望む声がある。

 
表3 村山圏域河川の許可水利の現況
 

3) 渇水の現状
 村山圏域では、水利用の多くを河川水に依存している。県内全域にわたり深刻な被害をもたらした昭和48年をはじめ、53年、59年、60年、平成6年と渇水が発生している。
 山形盆地東側で良く発達している扇状地の中でも、馬見ヶ崎川や乱川流域においては渇水期に流水が伏流し、表流水がほとんど見られなくなる。特に、馬見ヶ崎川は、市民の間から馬見ヶ崎川の親水空間にふさわしい河川の環境に配慮した流量を求める声があがっている。また、市街地を流れる堰にも流量確保を要望する声があり、こうした環境に対する地域の意識高揚の中、水利用と河川環境の調和が求められている。

  (2) 利水の課題
 このような現状を踏まえ、利水の課題は以下のように整理される。
押切川流域においては、流水の正常な機能の維持に必要な流量※1を確保するための対策が緊急の課題である。
  主要な地点での流量観測や、利水施設における取水量等を把握し、流域全体の観点に立って、渇水時における関係機関の相互連携調整を図るなど、渇水による被害を最小限にとどめるための体制づくりが課題である。
  渇水の情報を常に地域住民に周知することにより、渇水に対する地域住民の意識の高揚を図る。
  克雪対策として、河川水の有効利用が課題である。


※1 流水の正常な機能の
   維持に必要な流量
船運、漁業、景観・観光、塩害の防止、河口閉塞の防止、河川管理施設の保護、地下水位の維持、動植物の保護、流水の清潔の保持等を総合的に考慮し、渇水時において維持すべきであるとして定められた流量(維持流量)及びそれが定められた地点より下流における流水の占用のために必要な流量(水利流量)の双方を満足する流量。