第1章 河川整備計画の目標に関する事項
1-1 村山圏域の概要
1-1-1 自然と社会環境
 
(1) 村山圏域とは
 村山圏域は、最上川水系の中上流部に位置する山形県村山地域の7市7町(山形市、上山市、天童市、寒河江市、村山市、東根市、尾花沢市、山辺町、中山町、河北町、西川町、朝日町、大江町、大石田町)であり、圏域の河川は一級河川最上川水系のみで149河川、総延長775km、流域面積約2,630km2となっている。また、本圏域内の想定氾濫区域※1面積は、147.7km2となっており、ここには村山圏域人口の約20%(約11.8万人)が居住している。

  (2) 圏域の自然環境
 当圏域は、東に蔵王山系のある奥羽山脈と、西に葉山などのある出羽丘陵に挟まれた山形盆地を主体とする地域である。扇状地は盆地の東側で良く発達し馬見ヶ崎川、立谷川、乱川、あるいは白水川などが顕著な扇状地形を作っている。
 本圏域は盆地型気候で、一般的に気温の日格差が大きく、夏場は、フェーン現象が起こって異常な暑さを記録することがあり、山形では昭和8年7月25日に40.8℃の日本で一番高い気温を観測している。しかし、このような変化を有する気候により、四季折々の豊かな自然環境が形成されている。 山形における平成1〜12年までの平均最高気温は35.7℃、平均最低気温は-8.0℃となっている。降水量は、山形で年間約1,200mmとなっている。

  (3) 圏域の社会環境
 主な居住地域は、上山、山形、尾花沢の3盆地で構成され、奥羽山脈の西縁には馬見ヶ崎川、立谷川、乱川の三大扇状地が連なっており、この馬見ヶ崎川扇状地には県都山形市が立地し、活発な経済活動が行われていると同時に、政治・文化・交通の中核機能を有している。
 当圏域の盆地東部には、山形県の骨格的幹線道路である国道13号、JR山形新幹線が並行して南北に通り、上山・山形・天童・村山・尾花沢の各市が相互に密接なつながりを持って連なっている。特に県都山形を中心とした広域圏を形成し、都市化・工業化が著しい状況である。山形から西方へはJR左沢線が通り、当域西部と結んでいるが、山間部では過疎化が進行している一方で、都市部への人口集中が顕著であり、流域開発が著しい地区も見られる。
 当圏域は、栽培土質として適し、かつ最上川の川霧が品質を優れたものにしたといわれる「最上紅花」生産の中心地として有名であり、県内一の商品作物生産地帯であった。紅花衰退後は養蚕が普及したが戦後は縮小され、ホップ・タバコなどの換金作物が主力となっている。当域の水稲は、全国有数の高い反収を誇り、また、リンゴ・ブドウ・洋なし・サクランボなどの果樹栽培が昭和30年代以降急速に発展し、東根市・天童市・寒河江市等の扇状地に集中している。
 開発の遅れた立谷川・乱川の扇状地では、果樹のほか内陸工場団地の造成が活発に進められ、県都山形市にも至近の距離にあり、新幹線開業も加わって、立地条件に秀で著しい変貌をとげている。
 江戸時代から、山形県の一体性は、最上川の流域として育まれてきたといわれている。それぞれの自然環境の特徴、歴史的歩みが各地域の形成に大きく関わっており、山形・上山・天童・寒河江など城下町から発達した都市がある。また、かつての最上川舟運が本域に多くのものをもたらしたことを、「左沢」「大石田」、「山形・船町」、「天童・寺津」の各地に、さらに紅花交易により最上川を経由して京都からもたらされた京文化は、今も「河北町の雛」、「大石田・釈迦涅槃像」に見ることができる。
 当域の中心都市は、何れも温泉を有しており、都市部に天童・東根・上山温泉が、山あいに立地する蔵王・銀山などの温泉があり、四季を通じた豊かな自然環境と歴史遺構等を背景として、観光面でも重要な機能を果たしている。
 当域内では、一年を通じて様々なイベントが行われ、馬見ヶ崎川の「芋煮会フェスティバル」、「大花火大会」、中山町の「中山アユまつり」、河北町の「谷地ひなまつり」、西川町の「月山湖夏祭り」、大江町の「水郷大江夏祭り」等が有名であり、水と地域の深い関わりを知ることができる。 当域の歴史や風土との関わりから、「茂吉のふるさと」上山市、各所に滞在した「松尾芭蕉」等も有名である。

※1 想定氾濫区域 河川整備基本方針で定めた洪水規模で、想定される最大の氾濫区域(洪水調節施設がない場合)