1-2-3 河川環境の現状と課題
(1) 河川環境の現状
 
1) 動植物及び景観
 
@ 山地部
 庄内圏域の山地には、ブナ−チシマザサ群落、ブナ−ミズナラ群落など、自然性が高く、動物の生息の場となる森林環境が広く分布している。
 このような豊かな森林環境を背景に、ニホンカモシカなどの大型哺乳類が生息している。また、沢沿いには減少傾向にあるトウホクサンショウウオが見られる。良好な森林環境から流れ出す水は豊かな河川環境を形成しており、イワナ、ヤマメ、カジカ等の渓流魚の生息場所となっているほか、小動物の移動、採餌、休息の場となっている。
 河川の利用は、渓流魚を対象とした釣りが盛んである。

  A 山地から平地部
 山地から平地にかけては、主にクリ−ミズナラ群落とスギ植林などの常緑針葉樹の植林地が分布し、典型的な里山環境を形成している。 河道内において、アオサギなどの鳥類が魚を捕食している姿がよく見られる。
 生息する魚類は、アユ、ウグイなどが主となり、それらを対象とした釣りが盛んである。また、モクズガニなどの甲殻類の生息も確認されている。

  B 平地部
 平地の河川では、京田川、相沢川などの河川沿いに、ススキ群落,ツルヨシ群落,ヤナギ群落,ヨシ・オギ群落、河道内にはミクリ類等の群落が分布しており、夏鳥のサギ類,チドリ類、冬鳥のカモ類などの鳥類、アユ、コイ、ウグイなどの魚類が生息しており、様々な動物の生息の場となっている。
 注目すべき種としては、環境庁レッドリスト※1に指定されているウケクチウグイやスナヤツメなどがあげられる。また、黒瀬川上流部には置賜圏域黒川での自生が県の天然記念物に指定されているツクシガヤ等の生育が報告されている。

  C その他
 庄内圏域の河川は、緩やかな蛇行を繰り返し雄大な庄内平野を貫流している。緩やかな流れは、寄州や中州を形成し、そこには抽水植物が繁茂している。このような河川景観は、水田を中心とした周辺の景観と調和している。
 河川を利用した内水面の平成11年の漁獲高は、アユ、サケ、サクラマス等を中心に29tである。

  2) 河川の水質
 水質の生活環境の保全に関する環境基準※2は、最上川下流域の高屋,砂越,両羽橋でA類型、支川の京田川でB類型に指定されており、監視点での水質は、環境基準をほぼ達成している。 立谷沢川の平成11年度の測定結果は、BOD※375%値0.5mg/l未満と庄内圏域測定地点の中では最小値となっているとともに、県内でも有数のきれいな川でもある。
 その一方で、酒田市街地内を流れる小牧川は、平成8年にはBOD75%値 18.0mg/l、平成9年度には14.0mg/l、平成10年度には18.0mg/lと毎年高いBOD値を記録している。これは、小牧川が市街地の生活・産業排水等の排水路としても利用されているためであり、この結果、水質汚濁が進行し悪臭の発生等の問題が生じている。このため、小牧川の水質改善に向けた積極的な対応が迫られている。
 
表4 圏域内河川の水質データ(mg/l)
※BOD75%値・・年間測定値の中で小さい方から75%に相当する測定値
資料:環境白書(山形県)
  (2) 河川環境に関する課題
 以上より、河川環境に関する課題は以下のように整理される。
庄内圏域の河川の多くは自然豊かな河川環境を有し、多様な動植物の生息・生育の場を提供している。このような豊かな河川環境を可能な限り保全・復元する事が課題である。
  周辺の景観と一体となった、良好な河川景観の維持・形成が課題である。
  水質の悪い小牧川については、水質改善を図ることが課題である。
  河川水質の保全・向上が課題である。


※1 レッドリスト レッドデータブックの基礎となる日本の絶滅のおそれのある野生生物種のリスト(汽水・淡水魚類)1999年2月
※2 生活環境の保全に
   関する環境基準
その河川が目標とする数値で、知事が類型を指定するもの。(AA類型:1mg/l、基準値A類型:基準値2mg/l、B類型:基準値3mg/l、これはBODの基準値である)類型の指定内容は、平成12年度環境白書による。
※3 BOD 生物化学的酸素要求量。数値が大きいほど水質汚濁が著しい。