第1章 河川整備計画の目標に関する事項
1-1 庄内圏域の概要
1-1-1 自然と社会環境
 
(1) 庄内圏域とは
 庄内圏域は、山形県庄内地域の1市8町(酒田市,立川町,余目町,藤島町,羽黒町,三川町,松山町,平田町,櫛引町)のうち最上川水系に係る地域であり、圏域の河川の概要は、一級河川最上川水系51河川、一級河川延長約220km、流域面積約720km2となっている。
 また、本圏域の想定氾濫区域※1面積は、96.0km2となっており、ここには庄内圏域人口の約32%(約2.5万人)が居住している。 本地域は、出羽丘陵と日本海に挟まれた庄内平野の低平地を最上川が貫流しており、その流末には酒田市が位置している。酒田市の周辺には田園地域が広がっており、山形県の一大穀倉地帯となっている。
 近年は、酒田市・鶴岡市(圏域外)を中心都市として、庄内地方拠点都市整備地域に指定されており、地域が一体となった発展が望まれている。また、山形県の海の玄関口として、酒田港とその周辺地域は、環日本海圏・東アジアを視野に入れた国際経済交流拠点を目指しており、その発展が本県経済拠点として果たす役割は非常に大きい。

  (2) 圏域の自然環境
 当圏域は、東縁部に位置する出羽丘陵の山地部と、この山地と日本海の間に形成された低平地部で構成されている。低平地部は、海抜高度が低いこともあり、河川勾配も緩く流れも緩やかである。
 本地域の気候は、多雨,多湿,多照の海洋性気候を示している。夏季は海洋の影響で昼夜の温度差もあまりなく、日照時間が長い。冬季は、積雪は少ないものの、北西の季節風が強く地吹雪となる日が多い。しかし、このような変化を有する気候により、四季折々の豊かな自然環境が形成されている。
 酒田における平成1〜12年までの平均最高気温は35.3℃、平均最低気温は-6.0℃となっている。降水量は、酒田で年間約1,900mmとなっている。

  (3) 圏域の社会環境
 庄内地域の風土の形成,文化の発展の中で重要な役割を持ったのが、地形的特性を生かした米作りと水運である。
 全国有数の米どころとして知られる庄内地域の米作りは、現在では県内の約40%の生産高を誇っている。その始まりは弥生時代(紀元前300年頃)まで遡り、山形県内では最も深い歴史を持つ。
 また、江戸期の御城米(年貢米)や内陸特産物の航路輸送や国外貿易に代表されるように、酒田を抱える庄内は、日本海と最上川を結節する日本海貿易の玄関口として、上方・外国文化など異文化の波にいち早く接し、早くから文化的解明度の高さを示した。さらに、この水運貿易の発達に伴い、酒田市は堺市(大阪府)と並び称されるほどの商都としても栄え、大地主本間家や豪商鐙屋などを生み、現在もその佇まいを残している。
 庄内圏域には、山容の優れた月山、鳥海山をもつ出羽丘陵、朝日山地、日本海に囲まれた広大な庄内平野には、田園が一面に広がり、その中に最上川の雄大な流れがある。海、山、川などの変化に富んだ自然豊かで美しい景観がある。
 また、自然的景観ばかりでなく港町や城下町など庄内の歴史的・文化的雰囲気を象徴する景観も残されている。酒田市では景観形成の指針となる「酒田市まちなみ景観ガイドプラン」を策定し、酒田の豊かな自然や歴史、文化を生かした良好な景観づくりを進めている。
 庄内圏域の主な産業は、広大な田園地帯を利用した稲作中心の農業と、酒田市を中心とした商業,漁業である。これらの基幹産業の重要な源である水田や工場などの資産は、庄内地域の地形的特徴から氾濫被害を受けやすい低平地に集中している。
 庄内圏域内の河川利用は、河川上流部や渓流でのヤマメ,イワナ釣り、平地部でのアユ釣りなどが主体である。また、相沢川や中野俣川などの一部区間では、水辺空間を整備し親水公園などの利用がなされている。
 このような河川利用がなされる中で、河川美化や環境保全活動は、沿川町内会などで草刈りや清掃活動が行われている。

※1 想定氾濫区域 河川整備基本方針で定めた洪水規模で、想定される最大の氾濫区域(洪水調節施設がない場合)