(2)各地域の整備概要

 河川整備の基本理念に基づく各地域における河川整備は次のとおりである。
1)庄内地域(酒田ブロック)
@河川の氾濫被害等の軽減対策
【外水対策】
酒田ブロックは、背後地に酒田市街地を抱えており、氾濫区域※1内の資産が庄内地域で最も大きく、治水上の重要性が高い。
  現在まで堤防は完成しているものの、現在の堤防は旧河道上や最上川蛇行帯低地に築造されており、昭和44年8月の洪水では漏水被害や堤防法面が崩壊する被害が発生した。このため、漏水(耐浸透)対策と合わせて堤防の安全性の確保を図るとともに、洪水時の水位低減対策として、河道の流下能力が不足している箇所については、河道掘削を行う。
  砂洲の形成による河道の閉塞が著しい河口部においては、砂洲抑制のための対策を検討する。
 
整備イメージ図
 
【内水対策】
頻発する内水被害については、浸水被害状況等を勘案しながら順次対応を図る。
 
【危機管理対策】
地形・地質的特徴により出水時において漏水被害が頻発していることから、光ファイバー網の整備を行い、画像監視装置等による漏水箇所の状況を把握するとともに、洪水状況の監視、更には地震災害における河川管理施設の状況把握など、災害に関する情報の集中管理、また河川管理施設の遠隔操作による管理業務の効率化、一般へのリアルタイムな河川情報提供など、河川管理業務の高度化を図る。
  また、洪水時の水防活動及び緊急復旧活動などのための拠点整備について検討する。
 
A河川環境の整備と保全
本地域の整備にあたっては、舟運で栄えた歴史文化を踏まえて、日本海と繋がる河口部周辺の特性を十分に勘案し、地域との連携を図りつつ整備を行う。
  桜づつみイメージ図
  河川空間を地域の憩いの場、癒しの場、学習の場として活用できるよう桜づつみ及びスワンパーク、水辺プラザ※2等の整備を推進する。
  舟運等による河川利用、水面利用については、社会情勢等を勘案し検討する。
  本地域は汽水域であるため、多様の魚種が生息する地域である。河道掘削を行う際には、掘削後の断面が単調にならないように留意するとともに、現況の河川環境が自然再生するように配慮する。(多自然型川づくりの推進)また、サケやアユ等の遡上時期や白鳥の飛来時期、河川工事による濁水等の発生にも十分配慮する。

 
B事業実施による効果
暫定堤(断面不足)の解消、漏水(耐浸透)対策及び耐震対策も兼ねた堤防の強化等を行うことにより、堤防の安全性が向上するとともに、河道掘削による河積拡大により洪水時における本川水位の低減が図られる。
 

光ファイバー網の整備では、本ブロックの漏水情報や水位・流量等の河川情報の高度化により、洪水時においては一層の迅速かつ的確な水防活動が可能となると同時に、流域住民に対して出水状況や災害情報の提供等が容易となり、リアルタイムな情報提供を行うことで、異常時の迅速な対応(避難等)が可能となる。また、渇水時における河川の状況や川の365日のリアルタイムな画像情報等が得られ、適切な維持・管理が行えるとともに、これらの情報を一般に提供することにより、河川の現状に対して理解が進む。

 

【河川の氾濫被害等の軽減対策】
本支川区分 目 的 種 類 位 置 関係市町村
本川



水位低減対策 河道掘削 6.0〜12.4km 酒田市
平田町
余目町
暫定堤※3の解消 築 堤 左岸
5.0km
酒田市
堤防の強化 耐浸透対策
耐震対策
右岸
6.8〜12.4km+200m
左岸
7.6〜9.8km
酒田市

平田町
危機管理体制の確立 光ファイバーケーブル敷設
画像監視装置等、
受信施設 等
全川  
※今後の災害の発生や調査結果等により、新たに河川工事が必要となる場合がある。


【河川環境の整備と保全】
本支川区分 目 的 種 類 位 置 関係市町村
本川 河川環境の整備 桜づつみ 左岸
7.4〜12.4km
右岸
5.5〜12.4km
酒田市
余目町
平田町
水辺プラザ 右岸 12.4km 平田町


※1 氾濫区域 河川が氾濫したときに、浸水等の被害が予想される範囲
※2 水辺プラザ 川を中心とした歴史・文化や豊かな自然などを活かし、流域の人々の交流ネットワークを築くため、その交流拠点や地域づくりの核となる親水、自然学習、交流・連携などの機能を持つ河川整備
※3 暫定堤 段階的に堤防を築造した状態