(5)河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関する目標
最上川の流水は、上水道用水をはじめ、工業用水、かんがい用水など、県民の生活や経済活動に必要な水利使用のほか、舟運や景観、河川に関わる生態系の基盤であるなど重要な役割を担っている。したがって、その質的・量的管理は、公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進するために重要な事項である。
渇水による取水障害や河川の生態系に及ぼす影響を極力軽減させるため、水利流量と河川の維持流量の双方を満足する流量(流水の正常な機能の維持)の確保を図り、渇水被害の軽減に努める。
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1)新たな水資源の開発
本整備計画期間内においては、稲作等の農作物に被害を与えた昭和30年に発生した規模相当の渇水において、河川環境に対する影響を極力軽減させ、かつ、上水道や農業用水等の取水が確保されるよう、長井ダムなど水資源開発施設の整備を図り、必要な流量を確保する。
流量の確保については、既設寒河江ダムを適切に運用するとともに、新たに長井市平野地点に長井ダムの建設を図り、概ね10年に1回程度起こりうる渇水時においても、表に示す流量を確保し、渇水時の被害軽減を図る。
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表8 整備計画期間内の確保流量 |
主要地点 |
地先名 |
確保する流量 |
中 郷 |
寒河江市中郷 |
概ね 8 m3/sec |
稲 下 |
村山市南河島 |
概ね 27 m3/sec |
高 屋 |
戸沢村高屋 |
概ね 57 m3/sec |
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2)水資源の有効利用
水は限りのある資源であり、有効に利用するためには、水の再利用の推進、節水の促進等を図る社会の構築が不可欠であり、既存水源の効率的運用としてダムの利水補給運用や適正な水利権量の見直し等水利用の合理化に努める。
そのため、流域内の水の流れの過程における健全な水循環系の構築には、関係機関が連携した取り組みが必要であり、総合的・効率的な施策の実施に向けた連携・協力のあり方を検討していくことが重要である。
また、関係機関との連携のもと、普段の流況の保全・回復を図るとともに、渇水被害を最小限に留める取り組みとして、節水意識の啓発や「最上川水系渇水情報連絡協議会」などにより、渇水時における水使用の情報交換を積極的に行い、合理的な水利用並びに河川環境の保全に努める。
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