(2)流域の社会環境
1)人口の推移
 約100万人と県人口の約8割を占めている流域内の人口は、村山及び置賜地域(山形市や米沢市周辺)で増加傾向にあり、流域全体では微増で推移している。

2)土地利用
 山形県内の土地利用状況※1は、平成7年度においては全面積のうち宅地が3%、農用地が14%、森林・原野が72%、道路が2%、その他が9%となっており、近年の傾向としては、宅地が増加し農用地が減少している。

3)産業と経済
 流域内の産業別就労者数は、平成7年度※2においては、第一次産業が13%、第二次産業が38%、第三次産業が49%となっており、全国的な傾向と同じく一次産業が減少し二次及び三次産業が増加している。
 農業については、生産量で全国4位の米、収穫量で全国1位のサクランボなどを中心に、我が国の食料生産に大きく寄与している。
 工業については、電気機械や一般機械など加工組立型製造業の比率が高くなり、製造出荷額は近年大きな伸びを示し、流域内の資産額はここ10年で約2倍となっている。

 流域内の人口や資産は盆地や平野に多く集中している。想定氾濫区域※3そうていはんらんくいきは約680km2と流域面積の約10%程度にとどまるが、氾濫区域の人口は約34万人と流域内人口の約34%を占めており、資産も約4兆円と流域全体の約34%を占め、洪水氾濫による被害が地域の経済に与える影響は大きい。

4)流域の開発計画
 山形県では「全国総合開発」を受け、21世紀の日本の国土を先導するフロンティアとしての東北地方の連携・交流を円滑にし、調和のとれた発展を図ることを目的とした「東北開発促進計画」や庄内及び置賜地方の整備や産業業務施設の再配置を目的とした「地方拠点都市地域基本計画」等を含む「新総合発展計画」に基づき整備促進を図っている。
 最上川流域は、米沢市、長井市、山形市、新庄市、酒田市など山形県内の主要都市を多く抱え、山形県の社会・経済・文化の基盤を成している。そのため、高速自動車道、新幹線等の高速交通体系、先端工業等の産業立地、港湾・空港を活用した海外交流による国際化、高度情報化等の整備促進が掲げられ、今後の発展が期待されている。また、流域の健全な水循環系構築、多様な流域内交流・連携の推進、さらには渇水時でも安定した水利用を可能にするため、水資源の有効利用を図るとともに、長井ダム等の多目的ダム等による水資源開発の推進を図ることとしている。
 今後、これらのプロジェクトなどの進展に伴い、さらに流域の重要性が高まることから、治水(ちすい)、利水(りすい)及び環境を軸とした社会基盤の整備が急務となっている。

※1 山形県勢要覧  平成11年刊
※2 平成7年度 河川現況調査(国土交通省)
※3 想定氾濫区域 河川整備基本方針で定めた洪水規模で、想定される最大の氾濫区域(洪水調節施設がない場合)