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〜八戸工業高校生の現場見学会〜
 青森河川国道事務所では、9月18日(木)に八戸工業高等学校土木科の1年生35名を招いて、着々と工事の進む八戸南道路の盛土工事構造物工事、そして埋蔵文化財の発掘現場の見学会を開催しました。
盛土工事 編
八戸南道路位置図
 今回の見学場所は、左図の赤破線の区間です。用地買収や埋蔵文化財の発掘調査をしながら、改良工事を進めています。

平葭監督官

 当日の現場を案内してくれたのは、平葭(たいよし)建設監督官です。
 今回のは、八戸ロームを石灰改良しての盛土工事、函渠工事、橋梁工事など盛りだくさんです。

現場代理人

 詳細な説明は施工業者さんからしてもらいました。
 この工事では、現場内で切った土を盛土に転用しているのですが、この辺りの八戸ローム層は含水比が高く、そのままでは盛土に不適なので、石灰を混ぜて改良しているのです。

生徒たち

 真剣に話を聞く生徒たちです。まだまだ、土木の勉強を始めたばかり。でも、理屈は理解できたかな?

切土横断図
 小さくて見づらいですが、これが切土の断面図です。一番下の黄色い部分が八戸ローム層なのです。切土する土のほとんどがそうなんですね…
 現場によっては、土が軟らかすぎてブルドーザーなどが身動きできなくなってしまうこともあるとか。

コーンペネトロメーター
 そこで、改良して盛土した土を「コーンペネトロメーター」という機械で計測してみました。
 この機械は、とがっている先端を土に押し込むことで、その抵抗力からコーン指数というものを算出します。その値は、建設機械の施工性などに利用できるのです。
 ちゃんとした数字が出ましたか?

土砂の違い

 百聞は一見にしかず。改良前と、石灰を混ぜた改良後の土の具合を触ってもらいました。違いがわかったかな?

土壌改良機 大量の土砂に人の手で石灰を混ぜていたのでは、日が暮れてしまいます。これが土壌改良機です。奥のほうにバックホウで土を入れ、真ん中にクレーンで吊った石灰を入れると、混合した土が手前のほうに出来上がるのです。
 石灰は水を含むと熱を発生することから、大量保管はせず、こまめに岩手から運んでいるそうです。

 盛土工事箇所は以上でした。
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構造物工事 編
現場代理人


 引き続き、構造物の工事現場にやってまいりました。まずは、函渠工の現場です。

函渠 函渠は通常、現場で鉄筋を組みコンクリートを打設する工事方法が一般的ですが、今回は中の断面が大きいため、部分ごとに工場で製作したものを運び、現地で組み立てる手法をとっています。工場で製作するので品質が良く、また、現場の作業員も少人数で済むそうです。
 底のカギになっている部分が組み合わせたところです。

現場代理人
 今度は場所を変え、南道路と立体交差するこ道橋の現場にやってまいりました。
 橋の施工には鉄筋の「かぶり」が重要であることを強く語ってくれました。

かぶり…コンクリートの外面から鉄筋までの距離。長持ちする構造物のためにはかぶりは重要。

斜π全景
 こ道橋の形式は、斜π(パイ)ラーメン橋と呼ばれるものです。皆さんも高速道路などを走っていると、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。横から見た姿が、π字になっていて、足の部分が斜めになっていることから、こんな名前なのです。
 下から足場をくみ上げて作るんですね。

斜π上から

 上から見てみると、こんな感じです。
 しっかりと鉄筋が組まれていますね。

シース
 この鉄筋の間には、「シース」と呼ばれる管が入ります。コンクリートが固まった後に、シースの中を通した太いピアノ線を引っ張ることで、コンクリートに圧縮力が加わり、引っ張り力に弱いコンクリートの弱点を補うのです。

生徒たち

 足場の中に入ってみました。重たいコンクリートをしっかりと支えるため、緻密な支保工が組みあがっています。

鉄筋探査機
 これは、超音波による鉄筋探査の機械です。この機械により、出来上がった構造物内部の鉄筋の位置やかぶりが、壊さずにわかるのです。

 構造物工事の現場は以上でした。
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埋蔵文化財 編
埋文センター担当者
 最後に、県の埋蔵文化センターの担当の方々から、埋蔵文化財調査の概要について、説明してもらいました。

石器


 この場所からは、主に縄文時代の土器や石器が出土しているそうです。

土器と生徒

 ちゃんとした形のものが出てくるんですね。ほんの少し縄文時代に触れてみました。


 竪穴住居の跡は発見されていませんが、土坑(どこう)と呼ばれる穴を掘った跡が見つかっているそうです。これは溝状土坑と呼ばれるもので、動物の落とし穴として使用したのではと考えられているそうです。

埋文の測量

 ここでもきちっと測量し、出土品がどこのどの深さで発見されたかをちゃんと記録していくそうです。

発掘状況



 発掘の状況はこのような感じです。なかなか馴染みが無いですよね。

 今回の現場見学は以上でした。

 監督官のホームページはこちらです。
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 生徒の皆さんいかがでしたでしょうか。一年生とのことでしたので、まだ土木を勉強してから半年くらいでしょうか。これから勉強していくことに興味が沸いたでしょうか。
 青森河川国道事務所では、他にも多数の見学箇所を用意して、一般の方々からも広く現場見学を募集しています。
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